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    世界遺産

     

    「沖ノ島見たい」沸く、登録決定1か月

     「『神宿る島』宗像むなかた・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県宗像市、福津市)の世界文化遺産への登録決定から9日で1か月となる。二つの構成資産がある宗像市の離島・大島で来島者が倍増するなど各地でブームに沸く一方、遺産群の中核をなす沖ノ島の保全に向けた本格的な検討は始まったばかりだ。

    ◆大島の客2倍、観光ガイド人気

     宗像大社中津宮なかつみや沖津宮遥拝所おきつみやようはいしょのある大島は宗像市本土から約6・5キロに位置。宗像市によると、本土側とを結ぶ1日7往復の市営渡船の乗船客は、登録決定前の土、日曜が1日あたり約400~700人だったが、決定後は約800~1800人に増えた。とくに3連休の中日の7月16日は来島者が多く、市は臨時便5便を出して対応した。同市が民間会社に委託している島内の周遊バスも同月15日以降、1日6便から7便に増やしている。

     本土側でも、辺津宮へつみやなどを案内している宗像歴史観光ボランティアの会(宗像市、会員79人)へのガイドの申し込みが急増。2016年は計250件だったが、今年は6月までに186件を数え、その後も増え続ける予約状況から、年間800件を超える見通しという。船村浩由ひろよし会長(70)は「団体からの申し込みが多くなった。これから本格的に忙しくなる」と張り切る。

     沖ノ島で発見された金製指輪などの奉献品を展示する辺津宮境内の神宝館も、土、日曜の来館者は例年の倍以上となる1日あたり150人前後に達した。沖ノ島を3Dシアターなどで紹介する辺津宮近くの市郷土文化学習交流館「海の道むなかた館」の入館者も増えているという。

     一方、沖ノ島の古代祭祀さいしを担った豪族の墓とされる「新原しんばる奴山ぬやま古墳群」のある福津市は無料バスを走らせるなどしているが、来訪者は伸び悩んでいるという。市の担当者は「認知度を高め、利用者を増やしていきたい」と話した。

    ◆活動息長く

     宗像市では、関心を一過性に終わらせず、市民の熱意を持続させ、息の長い活動につなげていこうという取り組みも進んでいる。

     同市教委は来春から、世界遺産を学ぶ授業を全小中学校で実施する計画だ。辺津宮に近い玄海小や玄海中などでは試行的に始めており、児童、生徒が沖ノ島の古代祭祀などについて調べ、発表している。市教委の担当者は「世界遺産のある郷土を誇りに思い、歴史や文化に愛着を持ってほしい」と期待している。

    ◆保全策協議、年内にも

     遺産群の中核は宗像市沖の玄界灘にある沖ノ島だ。4~9世紀の祭祀跡があり、島を所有する宗像大社は一般人の上陸を禁止し、普段は神職が交代で常駐している。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は登録決定に際して、保全に向けた協議会の設立や、不法上陸対策を日本政府などに求めた。

     県などは現在、協議会について構成メンバーなどを検討中で、年内にも設立にこぎ着けたいとしている。第7管区海上保安本部(北九州市)によると、これまで沖ノ島への不法上陸の例はないが、県などは漁協だけでなく、釣り愛好者やダイバー、遊漁船業者などにも不法上陸対策への協力を求めていく考えだ。

     県世界遺産登録推進室の担当者は「どんな対策が講じられるかを議論し、保全に向けて責任を果たしていきたい」と話した。

    2017年08月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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