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    歴史・文化財

    「木造菩薩立像」対馬で里帰り展へ、東京から127年ぶり

    • 対馬に127年ぶりに里帰りする木造菩薩立像(九州国立博物館提供)
      対馬に127年ぶりに里帰りする木造菩薩立像(九州国立博物館提供)

     長崎県対馬市と九州国立博物館(福岡県太宰府市)は10月6日~11月5日、県外の博物館が所蔵する対馬ゆかりの文化財を集めた展示会を対馬市内で開く。出品物の中には、かつて対馬の寺に安置され、現在は東京国立博物館に収蔵されている仏像1体も含まれ、127年ぶりの“里帰り”が実現する。同市は「対馬が育んだ歴史と貴重な文化財を多くの人に知ってほしい」と来場を呼びかけている。

     同市によると、展示会は市が県とともに2020年の開館を目指す「対馬博物館(仮称)」建設への機運を盛り上げようと企画された。大陸や日本本土との交流の足跡を示す文化財をそろえ、同市峰町歴史民俗資料館で「対馬の遺宝 里帰り展」と題して開かれる。

     仏像は木造菩薩立像もくぞうぼさつりゅうぞうで、元々は同市厳原町樫根かしねの法清寺境内にある観音堂に安置されていた。ヒノキの一本造りで高さ約124センチ。高い宝冠や下膨れの顔立ちが特徴だ。

     観音堂には以前、この仏像を含む22体が安置され、1972年に行われた専門家らの調査で、平安時代に国内の仏師たちが手がけたものと確認された。このうち2体は、政府が1890年に開いた内国勧業博覧会に出品され、その後、東京帝国博物館(現・東京国立博物館)に収蔵された。今回の展示会では、スペースの都合から1体だけ出品される。

     樫根地区区長の一宮英久てるひささん(67)は「里帰りを歓迎したい。地区の先祖たちが大事に仏像を祭ってきた歴史があり、住民に展示会を紹介したい」と開催を待ち望む。

     展示会ではこのほか、東京や奈良、九州の国立博物館、福岡市博物館が所蔵し、対馬に関係の深い遺物、江戸時代に朝鮮王朝が派遣した外交使節団「朝鮮通信使」の行列絵巻などの文化財15点も集め、地元の遺跡からの出土品や古文書などと一緒に展示する。

     対馬市の島おこし協働隊員で、博物館建設推進室の大澤信さんは「島外に出た文化財が地元で一堂に展示される機会はめったにない。多くの人に見てもらいたい」とPRする一方、「個人所有の文化財が対馬から流出している問題もあり、島外に出す前には市に連絡してほしい」と求めている。

     問い合わせは同市(0920・53・6111)へ。

    2017年09月13日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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