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    [大学への道]<4>受け入れ進む海外

    • 米国カリフォルニア州の映像専門学校でパソコンの授業を受ける障害者たち(2015年1月、鞍手ゆたか福祉会提供)
      米国カリフォルニア州の映像専門学校でパソコンの授業を受ける障害者たち(2015年1月、鞍手ゆたか福祉会提供)

    ◆韓国の私大面接で選考

     外国の大学では、知的障害を持つ学生をどのように受け入れているのだろうか。

     神戸大大学院人間発達環境学研究科は、韓国・忠清南道チュンチョンナムドのナザレ大と学術交流協定に基づいて、障害者支援をテーマに研究交流を行っている。

     同研究科によると、ナザレ大は私立で、2009年度から定員20人のリハビリテーション自立学科を設置。知的障害を持つ学生を、正規の学生として受け入れる取り組みをしている。入試は全て面接による考査だという。

     同研究科の津田英二教授(48)(障害共生支援論)は、ナザレ大で優れている点の一つに、障害を持つ学生と持たない学生が、学内の生活館(学生寮)で共同生活を送っていることをあげる。

     4人部屋では障害を持った学生が1人いて、健常者3人のうちの1人にヘルパー的な役割を担わせる。津田教授は「健常者と障害者が、(共同生活で)お互いに学び合っていくというのは面白い取り組みだ」と語る。

    ◆米は機会の平等保障

     知的障害者のための大学に代わる福祉施設「カレッジ福岡」(福岡市)などを運営する社会福祉法人・鞍手ゆたか福祉会では、14年10月と15年1月に米国、同年12月に豪州、今年4月にはカナダの、それぞれの大学や専門学校を視察した。

     同会の長谷川正人理事長(55)は14年春、米国の大学事情をパソコンで調べていて、知的障害者の大学進学を全米で中心的に推進している団体のウェブサイトを見つけて「衝撃を受けた」と話す。「知的障害者を受け入れている大学の多さに驚き、ダウン症の学生が、大学の中で生き生きと生活している動画を見て目を疑った」と言う。これを機に海外の視察を始めた。

     米国では1990年に「障害を持つアメリカ人法」が制定され、障害者への差別が禁止され、機会の平等が保障された。08年には高等教育機会均等法が改正され、知的障害者にも大学への門戸が開放された。

    ◆「日本も制度化を」

     長谷川理事長によると、マサチューセッツ州は知的障害者の大学受け入れが全米で最も進んだ州だという。大学では入学希望の学生は書類審査だけで選考され、知的障害者の入学枠は定員の1%程度確保されている。全米では、東海岸や西海岸では受け入れは進んでいるが、中・南部ではまだ遅れているという。カナダでは、大学の授業についていける障害の軽い人しか入れない状況があるという。

     長谷川理事長は「米国では、知的障害者も大学で学べば、成長し社会人になる準備ができることを認める人権感覚がある。日本も国の制度として知的障害者が大学に行ける道を整えてほしい」と話す。

    2016年08月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun