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    [大学への道]<5>「もっと学びたい」に応えて

     知的障害者の大学への進学などについて、専門家2人に意見を聞いた。

    ◆障害対応の学部設置も検討必要

     知的障害のある青年の進学などについて詳しい日本福祉大子ども発達学部の伊藤修毅なおき准教授(41)(特別支援教育)は、「重要なのは、知的障害を持つ青年が特別支援学校高等部卒業時に、『もっと学びたい』という気持ちを持っていれば、『進学』を選択できるだけの十分な『学びの場』が保障されることだ」と話す。

     そのためには、「これは教育行政が責任を負うべきことなので、当面は『福祉型の専攻科や大学』を追求しつつ、各都道府県が設置している知的障害者の特別支援学校高等部に2~4年制の専攻科を設置することが必要だ」と指摘。その上で、「大学でも知的障害者に対応した課程を持つ学部を設置するなど、少し大きな制度改革を伴う方法も検討されてしかるべきだ」と提案する。

     現在の特別支援学校高等部からの進路は、実質的に「就職」(就労)がメインになっている現状についても、「(高等部では)一般就労率を高めることを要求され、職業訓練校と見間違えるような教育課程になっている学校もある」とし、「『進学』という選択肢が保障される最大の意義は、高等部が職業教育偏重の教育課程から脱却し、高校生の年代にふさわしい豊かな青年期の学びを保障できる場になることが期待できることではないか」と話す。

    ◆大学開放進めて少人数の授業を

     全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会の会長を務め、知的障害児や発達障害児について詳しい愛知県立大の田中良三名誉教授(70)(特別支援教育)は「大学が門戸を開いていくような働きかけが大事だ。大学で特別支援教育を研究している先生は、自らの大学で、障害のある学生をどう受け入れるのかをまず考えてほしい」と主張する。

     過去に自らの論文でも、「大学の教育学部や社会福祉学部は、知的障害者や発達障害者を、定員が30~10人の場合は5~3人程度、定員100人以上では6人以上を受け入れるべきだ」と具体的な提案をしている。

     また、「大学に進学することも大事だが、ただ在籍するだけではだめだ」と話す。大学が知的障害を持つ学生を単に受け入れるだけでなく、「講義や授業内容を、本当に知的障害者の学びがいがあるものにしていかなければならない」と語る。具体的には、こうした障害を持った学生には大きな教室での講義は向かず、少人数での授業を行うなど、学びやすくする必要があるという。

     「知的障害を持った青年たちは少人数であれば彼らなりの面白い意見を出すことができる」と言い、講義やゼミで教授などに代わって障害者の相談に乗るための「サブティーチャー」を置くことなども提案する。(おわり)

    2016年08月16日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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