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    JR九州 変革の30年

     国鉄の分割民営化で誕生したJR7社は4月1日、発足から30年を迎える。九州に鉄道網を持つJR九州はサービス改善や事業の多角化を進め、昨年10月、東日本、西日本、東海に次いで株式上場を果たした。しかし、九州の人口減少が進む中で、不採算路線をどう維持していくのかや、成長戦略を持続させていけるかなど課題も山積している。国鉄時代からの歴史を振り返り、今後の展望を探った。

    ◆「利用者」から「お客さま」

     「お客さま、お困りですか」。今月10日夕、JR博多駅。JR九州の女性駅員(27)は、駅内で困っている人を見つけると笑顔で話しかけ、目的地への行き方などを伝えた。「お客さまに一番近い場所。私のサービス次第で会社のイメージも変わります」と話す。

     民営化で変わったのは、国鉄時代に「利用者」と呼んでいた乗客を「お客さま」に転換させたこと。1955年に国鉄に入ったJR九州初代社長、石井幸孝さん(84)は「国鉄時代は乗客にサービスで喜んでもらう姿勢はなかった」と言い切る。

     約50年前に小倉から博多まで列車で通勤していた北九州市の会社員男性(84)は「JRになってサービスは随分良くなった」と笑う。

    ◆鉄道以外 6割稼ぎ出す

     JR九州は発足時から経営が厳しく、「上場なんて夢」との声もあった。同社が取り組んだのは観光列車の相次ぐ投入や、事業の多角化だ。失敗もあったが、執念で有望事業を育てた。

     その結果、同社の非鉄道事業の比率は87年度の約3割から2015年度には約6割まで増えた。15年度の売上高が2兆8671億円のJR東日本(非鉄道事業比率は37%)、1兆7384億円の東海(同25・5%)、1兆4513億円の西日本(同41・4%)の本州3社に比べ規模は小さいが、JR九州は16年、東京証券取引所1部と福岡証券取引所に株式上場を果たした。

    ◆赤字路線どうする

     JR九州は22路線を運営=地図参照=するが、人口減で存廃議論が浮上する可能性もある。

     国立社会保障・人口問題研究所の推計では、九州の人口は2010年の1320万人から40年には1075万人に減る。高速道路の整備が進んだことも同社には厳しい。マイカーやバスとの競争は激化している。

     全国的にはJR北海道が昨年、留萌るもい線の留萌―増毛ましけ間(16・7キロ)を廃止。全路線の約半分に相当する1237キロを単独では維持困難とし、見直す方針を示している。JR西日本は18年春、広島県三次市と島根県江津市を結ぶ三江さんこう線(108・1キロ)を廃止予定だ。

     こうした中、JR九州は今月、効率化として、日豊線が大半の大分―宮崎空港間の特急列車の一部を、運転士のみで運行するワンマン運転に変更。福岡県内の筑豊線若松―直方間の7駅は原則無人化した。利用者から不安の声も上がる。

     これに対し、JR九州の青柳俊彦社長(63)は「無人化やワンマン化は路線を残すため」と説明。一方、「赤字路線を黒字(事業)で補填ほてんするのは仕方ないが、永遠にそうあるべきではない」と話す。今年中に路線ごとの詳細な利用者数を公表し議論を促す考えだ。

     同社幹部は今後、線路などの施設を自治体が保有し、鉄道の運営をJR九州が行う「上下分離方式」や、線路を撤去して専用バスを走らせる方法などがテーマになる可能性を示唆する。

    2017年03月21日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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