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    第4部・海外の力<4>人材世界中から

    社内国際化、成長の地へ進出

    • HIS子会社が運営するスパ店のベトナム人スタッフ(右)から接客などについて聞き取りをするダオさん(11月16日、ベトナムのダナンで)=中西瑛撮影
      HIS子会社が運営するスパ店のベトナム人スタッフ(右)から接客などについて聞き取りをするダオさん(11月16日、ベトナムのダナンで)=中西瑛撮影

     世界中から観光客が集うベトナムのリゾート地・ダナン。旅行大手、エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社がこの街で運営するスパ店で、ベトナム人のダオ・ド・フーン・ヴァンさん(27)は11月中旬、スタッフの説明に耳を傾けていた。

     「お客さんに気持ちよく過ごしてもらうため、ベッドにはいつもお花を置くようにしています」。スタッフがそう話すと、大きくうなずいた。

     ダオさんは、沖縄県を中心にスパ店やセラピストの養成学校を運営する「パシフィック・ホスピタリティー・グループ」(PHG、那覇市)の社員だ。

     同社は来年1月、ベトナムに現地法人を設立し、スパ店などを展開する予定のため、ダオさんはHISの支店や子会社で実際の店舗運営の方法などを学んでいる。ベトナム進出に向けては、書類の準備などを進め、PHGに貢献してきた。

     「日本の文化や伝統に興味がある。ダナンは外国人も多く、観光客向けのビジネスがしやすいので、スパ事業が広がればベトナムの女性の雇用も増やせると思った」。ダオさんは滑らかな日本語で語る。

    ◆評価

     PHGがベトナム進出を決めたのは、HIS子会社のスパ店が開業する際、スタッフ育成などに関わったことがきっかけだ。

     佐藤健社長(52)は「ベトナムは人口がどんどん増え、活気がある。HISとの縁を機に、成長が見込めるこの国で事業を成功させたいと思った」と説明する。だが、進出に向け、「信頼できるパートナーがおらず、土地鑑もなかった」。そこで、現地の仲介業者に優秀な人材を求め、紹介されたのがダオさんだった。

     ダオさんは今年4月にPHGに入社する前は、ベトナム国家大学で日本語を学び、日系IT企業に勤務。交換留学生として東大に1年在籍した経験もある。

     「真面目でしっかりと仕事をこなせる。ベトナムで彼女が果たす役割は非常に大きい」と佐藤社長も評価。ダオさんに現地法人の運営を任せる考えだ。

    ◆橋渡し役

     日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本で働く外国人は約108万人(2016年10月末現在)。厚生労働省はこのうち約20万人を、高い技術や専門性を持つ人材とする。こうした人材が、海外との橋渡し役として、海外進出に不安を感じる中小企業の背中を押すケースが増えている。

     建築現場の足場の機材をレンタルする三信産業(大分市)で経営企画室主任を務めるネパール人のカフレ・サロジさん(30)。ITに詳しく、通信大手からの引き合いもあったが、立命館アジア太平洋大(大分県別府市)在籍中に別府が気に入り、地元企業を選んだ。

     同社初の海外案件となるフィリピンでの合弁会社設立時には、上司の通訳だけでなく、英語でマニュアルを作成し、自らプレゼンテーションを行うなど重要な役割を担った。サロジさんは「自分の知識や技術を生かせるから楽しい」と笑う。上司も「彼なしに海外事業はなしえなかった」と話す。

     ジェトロでは、こうした動きを加速させようと、今年8月から今月19日まで、海外進出を見据える企業に高度な技術を持つ外国人を派遣するインターンシップ事業を実施。計120人が全国の90社で働いた。

     水素水を製造する「KIYORAきくち」(熊本県菊池市)には10月、20歳代のインドネシアとマレーシア人の女性2人が派遣された。「社員の多くが地元採用で、『海外は怖い』とのイメージを持つ社員もいた。まずは外国人に慣れることから始めようと受け入れを決めた」と広報担当の内藤恵里香さんは振り返る。

     2人は現地の実情を話すだけでなく、浄水やプラント設計などに知見があり、商品改良の助言も行った。内藤さんは「得るものが大きかった。今後、東南アジアなどへの本格的な進出につなげたい」と語る。

     ジェトロの田中一史総括審議役(国際展開支援担当)は「中小企業が海外進出を果たすには、優秀な外国人を雇い、社内から国際化を進めるのが一番の近道だ。社内の日本人と外国人が協力して海外進出できれば、中小企業でもアジアなどの活力を取り込むチャンスがある」と指摘している。

    2017年12月26日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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