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    渡り鳥の季節到来、鳥インフル警戒

     渡り鳥の本格的な飛来シーズンを迎え、農林水産省が高病原性鳥インフルエンザへの警戒を呼びかけている。昨季は野鳥からのウイルス検出例が過去最多で、宮崎など9道県の養鶏場などでも発生した。渡り鳥が運んできたウイルスが小動物を介して養鶏場に侵入した可能性があり、同省は新たなチェック項目を示して予防の徹底を求めている。

     宮崎県都城市で県産ブランド鶏約1万2000羽を飼育する「鶏愛けいあい」。このブランド鶏は放し飼いが基本で、農場には頭上にネットが張られ、渡り鳥などの侵入を防いでいる。従業員らが毎日、約8000平方メートルの農場を見回り、ネットに破れがないか点検する。

     10月からは農場の出入り口に消毒効果がある石灰をまくなど対策を強化した。鶏愛の川野賢一社長は「自分の所で感染があれば、周辺の農場にも迷惑がかかる。絶対に発生させるわけにはいかない」と気を引き締める。

     県内では10月末までに鶏舎がある約980農場を職員が巡回し、ネットや金網の状態のほか、関係者以外の立ち入り禁止の表示などをチェック。ネットに破れが見つかった農場には、修繕を促すなどした。

     農水省や環境省によると、昨季は11月以降、鹿児島県出水市で死んだナベヅルから高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)が検出されるなど野鳥の感染が続出。県内では川南町、木城町の養鶏場でウイルスが検出され、殺処分は28万羽を上回った。

     昨季の状況について、農水省の疫学調査チームは今年6月に報告書を公表。ウイルスの遺伝子解析や野鳥の検出結果から、ロシアや中国から飛来した渡り鳥によって11月初旬までにウイルスが日本に運ばれ、同月中旬までに広範囲に分布したとみられるという。

     また、鳥インフルエンザが発生した養鶏場では、周辺にため池や川があるところが多いと分析した。侵入経路については、〈1〉ウイルスに感染した野鳥が水辺に飛来〈2〉野鳥やそのふんから、ネズミやイタチなどの小動物にウイルスが広がった〈3〉小動物が金網の破れやコンクリートの隙間などから鶏舎に入ってウイルスを持ち込んだ――などの可能性を指摘した。

     報告書を踏まえ、農水省は、新たなチェック項目を設けたリストを作成して都道府県に通知。鶏舎周辺の草刈りや枝切りを徹底して小動物を寄せ付けないようにしたり、養鶏場に近い池に防鳥ネットを張ったりしているかなどの注意点をまとめた。

     同省は「昨季はアジアだけでなく欧州でも様々な型のウイルスが確認され、今季も日本への侵入リスクは高い。都道府県や養鶏農家は予防対策に万全を期してほしい」としている。

    2017年11月06日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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