文字サイズ

    鉄道・運輸

    長崎駅前広場再整備、横断歩道の設置困難

    • バリアフリー化が求められているJR長崎駅前の歩道橋と長崎電気軌道の電停
      バリアフリー化が求められているJR長崎駅前の歩道橋と長崎電気軌道の電停

     2022年度に予定されている九州新幹線長崎(西九州)ルートの開業に合わせ、長崎市が進めているJR長崎駅前広場の再整備。市は18年度までに設計を終える計画だが、利便性向上のために検討してきた段差解消などの方策の多くは実現が困難な見通しで、市民からは「現状とほとんど変わらない」と批判の声も上がる。「100年に1度」といわれる駅周辺の再整備の現状や課題を探った。

    ◆渋滞頻発すると判明

     「国際都市・長崎を目指すなら、障害者や高齢者など全ての人が使える駅を目指すべきだ」

     17年12月、市議会長崎駅周辺再整備特別委員会。駅前の横断歩道設置を求める市議に対し、市の担当者は「バリアフリー化の観点から必要性は十分認識しているが、現状では難しい」と説明を繰り返した。

     市の計画によると、駅東口にイベントなどが行える多目的広場と、バスやタクシーなどが乗り入れる交通広場計約2万1900平方メートルを整備。西口にも、一般車両の乗降スペースを備えた約3000平方メートルの交通広場を新設し、総事業費は154億円を見込む。

     現在の長崎駅を利用する上で最も不便な点の一つが、国道202号の中央に位置する路面電車の電停や大黒町側から駅へ向かう際、歩道橋を渡らなければならないことだ。電停にはエレベーターがなく、車いすでは駅に移動できない。市は再整備にあたり、横断歩道の設置を目指してきた。

     しかし、県警などとの協議で、幅員約40メートルの国道を歩いて横断する時間を確保すれば、駅前で渋滞が頻発することが判明。電停と線路を駅側へ移設する案も浮上したが、路面電車のダイヤに支障が出る。結局、横断歩道は設けず、現在と同様に歩道橋を整備し、電停とつなぐエレベーターが新設される見込みとなった。

     その場合、国道を挟んで反対側の駅前商店街まで行き来するには、現在と同じく歩道橋の階段を上り下りしなければならない。商店街の経営者らでつくる「長崎駅前地区まちづくり協議会」の片岡憲一郎会長(71)は「歩道橋が壁となり、商店街に人が流れなくなるのでは」と不安を隠せない。協議会では今後も横断歩道設置を求める方針だ。

    ◆「時間的ロス」バス乗り入れ事業者反発

     交通事業者との協議も難航している。現在、駅前のバス停は国道沿いや交通広場に分散し、さらに新しい駅舎は現駅舎より西に約150メートル移動して国道から離れることから、市は路線バスの一部を改札に近い東口の交通広場に乗り入れさせる青写真を描いていた。

     だが、バス事業者側は、駅前を通るバスが乗り入れた場合、時間的なロスが生じるとして反発。このため、市は交通広場を起終点とする路線を増やすことも要請している。

     これに対し、バス事業者側は「駅前からのバス利用者は観光客より通勤通学の市民が多く、バス停が駅に近い方が便利とは一概には言えない。起終点型の路線も需要が不明で、新駅舎開業までに路線を増やすことは難しい」と慎重な姿勢を示している。

     新駅舎を巡っては、長崎線約2・5キロを高架化する連続立体交差事業の遅れにより、在来線の駅舎開業が21年度にずれ込む見通しも明らかになっている。現在の線路や駅舎などの解体が前提となる東口周辺の整備着工も1年遅れ、計画通り23年度に整備が完了するかは不透明な状況だ。

     市長崎駅周辺整備室の芝宗一室長は「当初の理想通りに進んでいないのは事実だが、できる部分は細部にもこだわり、現状より良いものを造り上げたい」と話している。

    2018年02月04日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    スマートフォン版九州発