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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    上質で心地よい走り BMW330e(Vol.497)

    • 試乗したのは最上級グレードM Sport(599万円)だが、330eは554万円からの価格設定だ(消費税込み)
      試乗したのは最上級グレードM Sport(599万円)だが、330eは554万円からの価格設定だ(消費税込み)
    • 運転者を中心とした運転席周りの作り込みはBMWの伝統的特徴
      運転者を中心とした運転席周りの作り込みはBMWの伝統的特徴

     BMWの3シリーズに、今年1月から車種追加されたのが、プラグインハイブリッド車の330eだ。そして、クルマとしての仕上がりの上質さに感銘を受けた。

     BMWは、昨年のX5 xDrive40e以降、プラグインハイブリッド車の充実に力を注いでおり、今年の1月に3シリーズと、2シリーズ・アクティブツアラーに、プラグインハイブリッド車を相次いで導入した。プラグインハイブリッド車は、搭載されているリチウムイオンバッテリーにあらかじめ充電しておけば、モーターのみによるEV走行ができ、なおかつ充電された電力を使い切っても、エンジンを始動し、ハイブリッド車として走行を継続できる。

     通常、プラグインハイブリッド車は、コスト上昇をできるだけ抑えるため、一つの方式でいくつかの車種に適用されることが多いが、BMWは、車種ごとにシステム構成が異なる。

     330eは、エンジン車の3シリーズが、フロントエンジン・リアドライブというFRの駆動方式を採用するので、それを()かしたプラグインハイブリッド化を行っている。

     排気量2000ccの直列4気筒ターボエンジンに、8速オートマチックトランスミッションが組み合わされるところはエンジン車と同様で、そのトランスミッションに組み込まれたモーターで、EV走行を実現する。7.7kWhのリチウムイオンバッテリーは、荷室床下に搭載されており、荷室容量はエンジン車と変わらない。

    • 2000ccの直列4気筒ターボエンジン、8速オートマチックトランスミッション、そして最高65kWのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステム
      2000ccの直列4気筒ターボエンジン、8速オートマチックトランスミッション、そして最高65kWのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステム
    • リチウムイオンバッテリーを荷室床下に搭載するが、荷室自体はエンジン車と変わらない積載性を保つ
      リチウムイオンバッテリーを荷室床下に搭載するが、荷室自体はエンジン車と変わらない積載性を保つ

     ハイブリッド車も、一般的にはモーター走行で発進するが、間もなくエンジンも始動してしまう。それに対し、プラグインハイブリッド車は、よほど強くアクセルペダルを踏んで加速を急がなければ、リチウムイオンバッテリーの電力が続く限りモーター走行を続ける。

     330eの場合、最大で36.8kmの距離をEV走行できる能力を持ち、また、時速120kmまでモーターのみで走れる能力を備える(ただし、MAX eDriveモードのとき。AUTO eDriveモードでは時速約80kmまでとなる)。

    • 200V・15A電源で、満充電までは約3時間。最大で、36.8kmのEV走行ができる
      200V・15A電源で、満充電までは約3時間。最大で、36.8kmのEV走行ができる
    • ガソリン給油口のそばに、プラグインハイブリッド車であることを示す「eDrive」のバッジがつく
      ガソリン給油口のそばに、プラグインハイブリッド車であることを示す「eDrive」のバッジがつく

     試乗では、むやみにアクセルペダルを踏み込まない限り、市街地ではほとんどモーターのみで走ることができ、それによって、とても快適なドライブを楽しむことができた。3シリーズは、BMWの中核車種であり、かつては6気筒直列エンジンがもてはやされた。その後、近年では、ダウンサイジングによる直列4気筒ターボエンジンが主力となったが、それでも直列6気筒エンジン時代の力強く滑らかな加速に通じる痛快な運転感覚を味わわせてくれている。

     そのうえで、プラグインハイブリッド車となって、いっそう上質で心地よい走りをもたらすことを330eは実感させたのだった。現行3シリーズの中で、最高の乗車感覚を味わわせてくれるのではないかと思う。

     まず何より、モーター走行を続けていると、室内が静粛である。そのうえ、リチウムイオンバッテリーやモーターを追加搭載したことによる重量増が、落ち着いた乗り心地をもたらしている。

    • 静粛性や乗り心地の重厚さで、後席の居住性が一段と高まる
      静粛性や乗り心地の重厚さで、後席の居住性が一段と高まる
    • 十分な大きさと硬めのクッションで体を支え、運転に集中させる前席
      十分な大きさと硬めのクッションで体を支え、運転に集中させる前席

     モーターでの発進、加速は、アクセルペダルの踏み込み方に素直で、実に気持ちいい。エンジン車でアイドリングストップをした際には、発進時にブルンッとエンジン始動の振動が伝わり、渋滞などでそれが頻発するとイライラさせられることもある。だが、プラグインハイブリッド車であれば、モーターで走り始めてから、必要なときだけエンジンがかかるので、静けさの中にエンジン音が突如生じる違和感が薄い。走り始めてからの330eのエンジン始動は、エンジン回転計を注視していないと、エンジンが始動したことに気づかないほど上手に制御されている。

    • エンジン回転計の下側に、バッテリーの充電や放電状況を示す表示が加わる
      エンジン回転計の下側に、バッテリーの充電や放電状況を示す表示が加わる

     そして、強い加速を求めたときは、ターボチャージャーで過給されたエンジンが、的確に速度に乗せていく。

     駆けぬける(よろこ)びを追求するBMWらしい走りの良さに、モーター走行の静粛さ、重厚さが加わり、3シリーズを1クラス上の車格に感じさせた。

     プラグインハイブリッド車ならではの走りを存分に味わわせてくれる330eであった。

    2016年06月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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