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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    圧倒的パワーを発揮 アウディQ7(Vol.499)

    • 新型アウディQ7の上級車種である「3.0TFSI quattro」の圧倒的なパワーを味わった
      新型アウディQ7の上級車種である「3.0TFSI quattro」の圧倒的なパワーを味わった
    • 新型Q7の上級車種には3000ccV6ガソリンスーパーチャージャーエンジンが搭載される。トランスミッションは8速オートマチック
      新型Q7の上級車種には3000ccV6ガソリンスーパーチャージャーエンジンが搭載される。トランスミッションは8速オートマチック

     アウディ社の最上級SUV(スポーツ用多目的車)がQ7だ。今回試乗をした新型で2世代目となる。

     新型にモデルチェンジをするたび車体が大型化するのが一般的だが、新型Q7は、前型に比べ全長で3.5センチ、全幅で1.5センチ小さくなった。そのうえ、車体で71キロ、エンジンやトランスミッション部で約20キロ、サスペンション、ステアリング、ブレーキなどの部分の合計で100キロ以上の軽量化が行われている。

     それでも、全長で5メートルを超え、全幅は2メートル近い車体は、見るからに大きく存在感は絶大だ。また、アウディの特色であるシングルフレームグリルの顔つきは、ルームミラーでも一目でアウディと分かるほど、押し出しの強い表情である。

     日本に導入される車種はすべて、アウディでは「クワトロ」と呼ばれている四輪駆動車だ。そのうえで、エンジン仕様の違いがある。今回試乗した「Q7 3.0TFSI quattro」は、機械式のスーパーチャージャーで過給する3000ccのV型6気筒ガソリンエンジンで、8速オートマチックトランスミッションが組み合わされている。ほかに、2000ccの直列4気筒ガソリンターボエンジン車もある。

     走り出してまず気付かされたのは、大幅な軽量化がなされたとはいえ、車両重量が2トンを超えるQ7が、滑らかに、軽々と発進する様子だった。近年のターボエンジンは、低いエンジン回転からでも適切な過給効果をもたらすが、試乗したV6エンジンは、3000ccという排気量の余裕に加え、機械式スーパーチャージャーによってエンジン回転と同調して過給が行われ、もっと排気量の大きい自然吸気エンジンのように力を発揮する。

    • 運転席からの見晴らしはよく、目線も高い。それでいて、走行安定性は高く、ハンドル操作に対する不安もない
      運転席からの見晴らしはよく、目線も高い。それでいて、走行安定性は高く、ハンドル操作に対する不安もない

     一般道から間もなく高速道路に入り、さらなる加速を試した。ここでV6スーパーチャージャーエンジンは有り余るほどの力の威力を見せつけ、猛然と速度を上げていった。これほど大柄なクルマが、ここまで軽々とよく速度を伸ばすものだと感心させられた。

     運転席からの目線は高めだが、ドイツ生まれのアウディ社最上級SUVというだけあって、高速道路での走りは安定しており、タイヤががっしりと路面を捉え、まっしぐらに走る。

     室内は全体的に静かで、上級車の趣だが、試乗車はタイヤ騒音がやけに耳に付いた。試乗車のタイヤは「Q7 3.0TFSI quattro」に標準装備されるタイヤより幅が広く、より扁平(へんぺい)な、注文装備の寸法のせいではないかと思う。しかも、高性能スポーツカー用の銘柄であるため、快適性より走行性能の高さを重視しており、タイヤ騒音には我慢が必要だ。

    • 近年のアウディ車は、カーナビゲーションの地図画面を正面のメーター内に大きく表示できる機能を備える
      近年のアウディ車は、カーナビゲーションの地図画面を正面のメーター内に大きく表示できる機能を備える
    • 全長5メートルを超える大柄な新型Q7だが、後退の際にはカーナビゲーション画面に、後方と、真上からクルマを見下ろす映像が表示され、周囲を確認できる
      全長5メートルを超える大柄な新型Q7だが、後退の際にはカーナビゲーション画面に、後方と、真上からクルマを見下ろす映像が表示され、周囲を確認できる

     スポーツカーはエンジン音も勇ましいので、こうしたタイヤ騒音が案外気にならない場合がある。速度無制限のアウトバーンを持つドイツでは、SUVといえども走行性能の高さが求められるのはわかるが、SUVの上級車としてはタイヤ騒音にも配慮したタイヤが、少なくとも時速100キロの制限がある日本では適していそうだ。

     快適さについては、2列目の後席の座り心地がもう少し良くてもいいのではないかと感じた。座席の座り心地と、座席自体の寸法的な面から、かなり背もたれを起こした姿勢で座らないと体が落ち着かなかった。座るクッション部の形が、平らすぎるような印象だ。注文装備として3列シートも可能なQ7であり、3列目のゆとりも想定し、2列目の座席がやや小さめになったのかもしれない。

    • 注文装備で設置できる3列目の座席
      注文装備で設置できる3列目の座席
    • 2列目の座席は、クッションの形と寸法の面で、もう少し快適に座れる作りであってほしかった
      2列目の座席は、クッションの形と寸法の面で、もう少し快適に座れる作りであってほしかった

    • 3列目の座席を残したままでもそれなりに容量のある荷室は、3列目の背もたれを左右別に倒すことで広さを調節できる
      3列目の座席を残したままでもそれなりに容量のある荷室は、3列目の背もたれを左右別に倒すことで広さを調節できる

     ドイツの自動車メーカー各社は、将来の自動運転を見据えながら、運転支援機能の搭載に積極的になっている。新型Q7も同様で、今回の試乗では、車線逸脱を抑制するレーンキープアシストを高速道路で試してみた。車線の白線からはみ出さないよう、車線内に戻すハンドル操作が自動的に行われるが、その動きが急すぎる感触だった。運転していても、その作動に違和感を覚えたが、同乗者はより体を左右に揺すられ、体の支えがいまひとつの後席の影響もあって、不快な思いをすることになる。

     アウディ社は、伝統的に、「技術による先進」を目指し開発を続けているが、走行性能の高さだけでなく、もう少し人に快適さを覚えさせる技術の仕上げが求められるのではないだろうか。

    2016年07月12日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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