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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    自在に走れる心地よさ DS4クロスバック(Vol.500)

    • 日常的な利用はもちろん、週末のドライブでも快適な運転を楽しませそうなDS4クロスバック
      日常的な利用はもちろん、週末のドライブでも快適な運転を楽しませそうなDS4クロスバック
    • 標準車に比べ3センチ高められた車高が、DS4のデザインに自然に溶け込みSUVとしての存在感は十分だ
      標準車に比べ3センチ高められた車高が、DS4のデザインに自然に溶け込みSUVとしての存在感は十分だ

     DS4クロスバックは、4ドアクーペのDS4に新たに追加されたSUV(スポーツ用多目的車)タイプの車種だ。

     ここで、そもそもDSとはどんなクルマかという説明が必要かもしれない。DSは、元々はフランス・シトロエンの一車種だった。その初代は1955年に登場している。2000年を過ぎてから、DS3、DS4、DS5など新たな車種が増え、2014年に、「DSオートモビル」としてシトロエンから独立したブランドとなった。

     DS4は、11年にシトロエンブランドのもとで発売が開始された5ドアハッチバック(4ドア+リアハッチバックの形式)車だ。車幅は1.8メートルを超え、3ナンバー車となるが、全長は4.3メートル弱で、小型車感覚で扱えるクルマである。

     そのDS4に今年、地上高を3センチ高くしたクロスバックが加わった。車高が全体的に高くなっただけでなく、前後フェンダーのホイールアーチに黒いモールが取り付けられ、オフロード走行が得意なクルマの装いを与えられている。ただし、標準のDS4と同じ前輪駆動車(FF車)なので、悪路走破を得意とする四輪駆動のSUVほど本格的ではない。それでも、キャンプ場などへの入場のため、舗装路を外れて走るときなど、床下を荒れた路面で打つ心配が薄れ、アウトドア気分を不安なく楽しめるはずだ。

    • 排気量1600ccの直列4気筒ターボエンジンは、6速オートマチックトランスミッションとの相性も良く、的確な加速をもたらす
      排気量1600ccの直列4気筒ターボエンジンは、6速オートマチックトランスミッションとの相性も良く、的確な加速をもたらす

     エンジンは、排気量1600ccの直列4気筒ガソリンターボである。これに6速オートマチックトランスミッションが組み合わされる。このエンジンの力の出し具合が、強すぎず、物足りないこともない、ちょうどいい気持ちよさを備えていた。日常においても、山道を走るようなときでも、運転者の意図通りに素直に加速してくれる。

     したがって、強すぎるパワーに緊張することもなく、アクセルペダルの踏み込みに遅れを伴うような不満も感じない。

     そのちょうどいい感じというのは、座席の座り心地にもいえる。たっぷりとした大きさの座席は、硬すぎず柔らかすぎず、適度に体を支え、体をゆったりと委ねることができる。もし未舗装路に入り、路面の凹凸や砂利道の細かい振動があっても、体に負担を及ぼさない優しさを感じた。

    • たっぷりとした寸法の座席は、クッションが硬すぎず柔らかすぎず、ゆったりと座らせ、体の支えもしっかりとしている
      たっぷりとした寸法の座席は、クッションが硬すぎず柔らかすぎず、ゆったりと座らせ、体の支えもしっかりとしている
    • 後席は床との高さが十分にあり、きちんと座らせるが、前席下へ足を伸ばせるとなおいい
      後席は床との高さが十分にあり、きちんと座らせるが、前席下へ足を伸ばせるとなおいい

    • やや高めの目線となる運転席だが、セダンなどから乗り換えても違和感はないはずだ
      やや高めの目線となる運転席だが、セダンなどから乗り換えても違和感はないはずだ

     タイヤは、扁平(へんぺい)すぎない大径の寸法で、道路を確かにつかむ頼もしさを伝えてくる。扁平タイヤのゴツゴツした乗り心地ではなく、かといって細いタイヤがカーブでたわむような不安もない。大地を駆けるSUVの雰囲気を満喫させる、ちょうどいい寸法であると思わせるのだ。

     車高が、標準のDS4に比べ3センチ高くなったことで、運転席からの目線はやや高めになる。それでも、四輪駆動のSUVほど見下ろす視界ではなく、4ドアセダンなどから乗り換えても違和感のない範囲だ。それでいて、ちょっとした目線の高さが、新鮮な雰囲気を覚えさせる。

    • 後ろのドアの取っ手は窓枠にうまくはめ込まれ、遠目では2ドアクーペのように見えるデザイン処理がされている
      後ろのドアの取っ手は窓枠にうまくはめ込まれ、遠目では2ドアクーペのように見えるデザイン処理がされている
    • 荷室は床が深めで、後席背もたれを左右分割で倒しこむこともでき、容量を調節できる
      荷室は床が深めで、後席背もたれを左右分割で倒しこむこともでき、容量を調節できる

     一通り試乗を終え、残ったのはちょうどいい快さだった。

     猛烈な走りではないけれど、自在に走らせられる運転のしやすさがあり、またクルマを降りてその姿を眺めれば、週末を楽しませてくれそうな姿が気持ちを弾ませる。

     パリを一歩離れれば、ちょうどいいスピードの楽しさを味わえる道がフランス郊外にはある。そんな爽快な走りの喜びを思い起こさせる、DS4クロスバックだ。

    2016年07月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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