文字サイズ
    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    ディーゼル特有の振動や騒音抑制、プジョー308(Vol.502)

    • 洗練されたいい印象を与えた308 SW アリュール BlueHDi
      洗練されたいい印象を与えた308 SW アリュール BlueHDi
    • 荷室の床下に、排ガス浄化のための尿素水を補給する口が設けられている
      荷室の床下に、排ガス浄化のための尿素水を補給する口が設けられている

     プジョー、シトロエン、DSという3つのフランス車を抱えるPSAグループが7月、各ブランドのクリーンディーゼルエンジン車を日本で発売すると発表した。その先陣を切って発売されたのが、プジョー「308」と「508」だ。ディーゼル車は、車名の末尾にそれぞれ、BlueHDiがつく。今回紹介するのは、「308 BlueHDi」である。

     308のディーゼル車は、2種類ある。一台は「308 アリュールBlueHDi」で、もう一台が「308 GT BlueHDi」だ。それぞれに、ハッチバックとステーションワゴンがある。

     結論を先に言えば、ハッチバック車なら299万円(消費税込み)からという「アリュール」の印象が大変よかった。まずは、ステーションワゴンの「308 SW アリュール BlueHDi」に試乗した。

     このディーゼルエンジンは、排気量が1600ccで、ターボチャージャーによる過給を装備する。トランスミッションは、日本のアイシンAW製6速オートマチックである。

    • 奥行きがあり広々としたSWの荷室
      奥行きがあり広々としたSWの荷室

     同じアリュールでも、ステーションワゴンであることから、ハッチバックに比べ車両重量が60キロ重くなる。さらに試乗車にはパノラミックガラスサンルーフが装備されていたので、20キロが追加される。

     車両重量が重めのステーションワゴンながら、1600ccのディーゼルターボエンジンは快適な走りを提供してくれた。

     発進のアクセルペダル踏み始めでは、少し力不足かなという思いはあった。しかし、そこから素早くエンジンが回転を上げ、ターボチャージャーが過給を開始して出力を瞬時に高めていくため、実は、発進からの加速において動力性能の不足がないことに気づかされた。エンジンが素早く立ち上がる様子は、いかにも摩擦損失が少ないと思わせる洗練さを備えていた。

    • 摩擦損失の少ない滑らかなエンジン回転で、ディーゼルらしい振動・騒音も少ない1600ccディーゼルターボエンジン
      摩擦損失の少ない滑らかなエンジン回転で、ディーゼルらしい振動・騒音も少ない1600ccディーゼルターボエンジン
    • ガソリンエンジン車と同様の運転席周り。エンジン回転計が逆回転する方式は、やはりなかなかなじめなかった
      ガソリンエンジン車と同様の運転席周り。エンジン回転計が逆回転する方式は、やはりなかなかなじめなかった

     6速オートマチックトランスミッションとの相性もよさそうで、素早いエンジン回転と適切な変速によっても、加速性能を満たしているのだ。

     この摩擦損失の少ないエンジンの滑らかな回転は、アイドリングストップからの再始動でも効果を発揮した。エンジン始動時に起こりやすい「ブルンッ」という振動をほぼ伝えてこない。また、青信号に変わってすぐや、右折待ちから走り出そうとするときなども、手早くエンジンがかかり、すぐ発進できるので、出足への不安はない。

    • 試乗車に装備されていたパノラミックガラスサンルーフは、天井いっぱいにガラス面が広がる
      試乗車に装備されていたパノラミックガラスサンルーフは、天井いっぱいにガラス面が広がる

     市街地などでの低速走行や、高速道路での巡航においても、摩擦損失の少なさがディーゼル特有の振動や、耳障りな騒音を抑えるのに効果を発揮しているようだ。これまで試乗した多くのディーゼルエンジンは、ディーゼル振動と騒音を抑えているとはいえ、どこかガソリンエンジンとは異なる低周波振動を意識させられたものだが、「308 SW アリュール BlueHDi」は、よほど気を付けていないとディーゼルであることに気付かないほどだ。

     次に、排気量2000ccのディーゼルターボエンジンを搭載するハッチバック車、「308 GT BlueHDi」に乗った。

     こちらも、競合他社の最新クリーンディーゼルエンジン同様に、快適性を高めたエンジンとはなっているが、1600ccエンジンに比べると、新鮮さや洗練さにはやや欠けるところがあった。もちろん、日本人が長年にわたりディーゼルエンジンについて思い描いてきたような嫌な振動・騒音があるわけではない。ただ、ディーゼルらしさは残されていた。

    • 2000ccのディーゼルターボエンジンを搭載する308 GT BlueHDiは、より扁平なタイヤを装着し、乗り心地も荒々しい
      2000ccのディーゼルターボエンジンを搭載する308 GT BlueHDiは、より扁平なタイヤを装着し、乗り心地も荒々しい
    • 給油口には、スタンドの給油ノズルと同じ緑色で軽油の指定が表示されている
      給油口には、スタンドの給油ノズルと同じ緑色で軽油の指定が表示されている

     一方、排気量が大きい分、馬力も大きいこのエンジンは、アクセルペダルを踏み込み始めたところから、鋭い加速をもたらす。低い回転数から強烈な力を発揮するディーゼルターボエンジンらしさを好むなら、GTを選ぶ理由はある。

    GTは、より扁平(へんぺい)で太いタイヤを装着し、荒々しい乗り心地でもあるので、しなやかな乗り心地のアリュールとは違った個性が明確に現れる。

    アリュールでの比較で、ガソリンエンジン車に比べ20万円、価格が割高になるBlueHDiだが、輸入車はプレミアムガソリン指定となるので、軽油で走れるディーゼル車は、何年かのうちにその車両価格差を埋めることができるのではないか。ただし、1万キロをめどに、年1回ほど排ガス浄化のための尿素水を、正規ディーラーで補給する必要がある。

    2016年08月16日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    週刊@CARS投稿