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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    安心と愉しさが進化 スバルXV(Vol.519)

    • 新型XVは、2000ccエンジン車のほうが、より上質さを感じられる
      新型XVは、2000ccエンジン車のほうが、より上質さを感じられる
    • 基になったインプレッサに比べ、クルマの床下と路面の隙間が7cm高くなっているが、ルーフレールなしなら立体駐車場に入る車高となっている
      基になったインプレッサに比べ、クルマの床下と路面の隙間が7cm高くなっているが、ルーフレールなしなら立体駐車場に入る車高となっている

     SUBARU(スバル)のクロスオーバーSUV(スポーツ用多目的車)であるXVが、フルモデルチェンジをした。前型の人気が高く、新型のデザインも前型を踏襲した姿となっている。しかし、運転してみると進化の差は大きかった。

     4月に新車発表されながら、発売は5月24日からということで、今回の試乗は、私有地内で行われた。また今回は、新旧XVの比較試乗も行うことができた。

     まず前型XVに試乗したが、車高は高いもののスバル独自の水平対向エンジンによる低重心と、スバルではAWD(オール・ホイール・ドライブ)と呼ぶ四輪駆動の効果によって、手応えのいい走りをする。スバルの企業スローガンである「安心と(たの)しさ」をまさに体現したSUVであることを改めて実感した。

     そのうえで、新型XVを走らせ、驚いた。前型とは全く違う、高級車のように静かで乗り心地のよいクルマなのである。運転中の目線はSUVらしく高いが、普通の乗用車を運転しているかのような安定感があり、また手応えが上質である。

    • 荷室は十分な広さがあり、旅に出るにも便利
      荷室は十分な広さがあり、旅に出るにも便利
    • スバル独自の水平対向4気筒エンジンに、リニアトロニックと呼ばれる無段変速機を組み合わせた動力系を搭載
      スバル独自の水平対向4気筒エンジンに、リニアトロニックと呼ばれる無段変速機を組み合わせた動力系を搭載

     それら新型での進化が、前型と同じように運転しているつもりでも、同じ道を時速10kmほど速い速度で走らせていたことに、速度計を見て気づかされた。スピードを出している感覚が少なく、安心して運転していられたということである。快適な乗り心地は、長距離を移動しても疲れにくくするだろうし、前後席の同乗者との会話も弾ませるだろう。

    • 室内は、基になっているインプレッサと同様のデザインだが、ハンドルや座席にオレンジ色のステッチが施されている(1600ccエンジン車は除く)
      室内は、基になっているインプレッサと同様のデザインだが、ハンドルや座席にオレンジ色のステッチが施されている(1600ccエンジン車は除く)
    • 体の形に沿って支えてくれる座り心地のいい運転席
      体の形に沿って支えてくれる座り心地のいい運転席

     新型XVには、前型になかった排気量1600ccエンジンの車種を選ぶことができる。価格を抑え、より身近にXVを味わってほしいと、新型には排気量の小さなエンジン搭載車が加わったのである。ちなみに、先に試乗をした新旧XVは、排気量2000ccエンジン車である。

     1600ccエンジンの新型XVも、基本的な機能は2000ccエンジン車と変わらないが、やはり乗り味は違っていた。2000ccエンジンのゆとりがない分、エンジンを余計に回して走ることになり、2000ccエンジン車で実感した静かさや上質な乗車感覚は薄れた。前型から好評のSUVとしての活動的な走りは楽しめるが、乗用車的な高級感は1600ccエンジン車では感じにくい。また、燃費性能もほとんど変わらない。

     新型XVでは、1600ccエンジンの最廉価車種を除いて、より大型のSUVであるフォレスターに採用されている、X‐MODE(エックス‐モード)と呼ばれる四輪制御機能が新装備された。これは、四輪の駆動力やブレーキを適切に自動制御することによって、滑りやすい道路状況でも安心して走らせることのできる機能だ。悪路走破性を高める技術である。これを、今回の試乗で試すことができた。

    • 新型XVに新装備されたX‐MODEのスイッチ(右下)が、シフトレバーの手前に設けられている
      新型XVに新装備されたX‐MODEのスイッチ(右下)が、シフトレバーの手前に設けられている

     ぬかるんだ泥の上に雪が残っている斜面の途中で一旦停止したあと、坂道発進を試みる体験である。ここで、まずX‐MODEのスイッチを入れずに発進すると、四輪駆動であることによって坂を登りはじめはするが、タイヤが横滑りしてハンドルで進路を修正する必要があった。また、もし無闇(むやみ)にアクセルペダルを踏み込めばタイヤが空転して坂を登れなくなってしまう。というのも、悪路走破に向いたタイヤではなく、乗用車用タイヤが装着されているためだ。

     それでも、X-MODEのスイッチを入れると、ハンドルでの進路の修正も必要ないほど簡単に坂道を登っていった。

     新型XVは、街での日常的な利用にも便利でおしゃれなクルマとして開発されたが、同時にまた、本格的なSUVのフォレスターと同じように、悪路にも強さを発揮する性能が与えられているのを実体験したのであった。

     見せかけだけのSUVではないという性能に、安心と愉しさを宿した新型XVである。

    • 荷室の床下には小物入れがあるほか、パンク修理剤が格納されている
      荷室の床下には小物入れがあるほか、パンク修理剤が格納されている
    • クルマが泥だらけになる雪の残る斜面で、X‐MODEによる悪路走破性を体験した
      クルマが泥だらけになる雪の残る斜面で、X‐MODEによる悪路走破性を体験した

    2017年05月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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