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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    PHVも登場 BMWミニ クロスオーバー全面改良(Vol.523)

    • ミニに待望の電動車両が加わった。ミニクーパーSEクロスオーバー・オール4に試乗
      ミニに待望の電動車両が加わった。ミニクーパーSEクロスオーバー・オール4に試乗

     ドイツのBMWが販売するミニのクロスオーバーがフルモデルチェンジをした。車体は、前型に比べひと回り大きくなっており、ミニという車名といえども、小さいクルマではなくなっている。また、ミニとして最初のプラグインハイブリッド車(PHV)が、クロスオーバーに登場した。それ以外は、ディーゼルターボエンジン搭載で、ガソリンエンジン車はない。

    • 左側のフロントフェンダー後ろに、200V(ボルト)での充電口が設けられている
      左側のフロントフェンダー後ろに、200V(ボルト)での充電口が設けられている
    • 車体が大きくなったことで、室内のゆとりはふえたが、後席の座り心地は改善の余地がありそうだ
      車体が大きくなったことで、室内のゆとりはふえたが、後席の座り心地は改善の余地がありそうだ

     まず、ディーゼルエンジン車に試乗した。悪路での走行も視野に、車高がやや高く、運転席からの目線はそれなりの高さがある。それによって遠くを見通しやすくなるのが、スポーツ多目的車(SUV、BMWではSAVという)人気の一つである。ディーゼルエンジンは、もともとエンジン回転数が低いところで大きな力を出せる特徴があるので、アクセルペダルを軽く踏み込むだけで十分な加速が得られる。車体は大柄になったが、走る様子は元気がいい。

     だが、舗装路を走っていてもタイヤが路面をとらえている感触が少なく、やや運転に不安を覚えた。しかし、速度を上げていくと、ぐっと落ち着きが出て、安定感が増してきた。ドイツのBMWが開発しているとはいえ、ミニはイギリスを発祥とするクルマであり、イギリスでは、一般道でも郊外では時速80kmで走れる。それくらいの速度に達すると、ミニ・クロスオーバーはちょうどいい運転感覚になるように仕上げられているのだと理解した。国内の時速40~50kmの速度で多少しっくりこない面があるが、逆に、それが輸入車に乗る魅力の一つでもある。海外の交通環境を、クルマの仕上がりから想像することができるからだ。

     自動車業界が電動化していくなかで、ディーゼルエンジン車より遅れて輸入されたPHVにも試乗する機会を得た。BMWの電動化技術は、ミニの電気自動車を600台つくり、世界中を走ることで検証しながら始まった。そして、BMWの電気自動車i3が、2014年に誕生した。ミニにも、プラグインハイブリッドのシステムで、いよいよ電動化技術が投入されたことになる。

    • プラグインハイブリッド車となっても、荷室の使い勝手は悪くなっていない
      プラグインハイブリッド車となっても、荷室の使い勝手は悪くなっていない
    • 車載された200V(ボルト)の充電ケーブル。3時間の充電で満充電になり、最長42.2kmのモーター走行が可能
      車載された200V(ボルト)の充電ケーブル。3時間の充電で満充電になり、最長42.2kmのモーター走行が可能

     ミニのPHVに試乗したとき、実はバッテリーの充電状況が残り1%しかない状態だった。これでは、電動化されたミニのモーター走行をあまり体験できないのではないかと思った。しかし結果的には、それが功を奏したのである。

     PHVのエンジンはガソリンエンジンで、アイドリングさせて少し停車していると充電が2%に増えた。走り出すと、エンジンは停止してモーターのみで走行しはじめた。バッテリーの充電が非常に少なくても、発進はモーターで行う制御が行われていることがわかった。

     たとえ軽自動車といえども、停車した状態から発進するときは、燃費が1ケタ台に落ちる。クルマがもっとも燃費を悪くするとき、モーターで走ることができれば燃費の改善に通じる。ことに、日本の都市部のように、発進と停止の回数が多い場合に有効だ。

     発進から少し強めにアクセルペダルを踏み込むとエンジンが始動した。ここから、エンジンとモーターを併用するハイブリッド走行になる。そして、減速のときに働く回生を利用することで、充電はさらに3~4%へ回復していった。以後、モーター走行できるところはできるだけモーターで走り、追い越しなど強い加速を求めたときにはエンジンが活躍した。

    • プラグインハイブリッド車には、直列3気筒のガソリンエンジンが搭載される
      プラグインハイブリッド車には、直列3気筒のガソリンエンジンが搭載される
    • ミニならではの独特なデザインの室内
      ミニならではの独特なデザインの室内

    • ディーゼルエンジン搭載の、ミニクーパーSDクロスオーバー・オール4
      ディーゼルエンジン搭載の、ミニクーパーSDクロスオーバー・オール4

     ミニのPHVに乗って感じたのは、はやりモーター走行での静粛性の高さと、滑らかな走行感覚による快適さだった。悪路へ踏み入れることも視野に入れたSUVであっても、市街地で日常的に利用するには、モーター走行による快適さが(うれ)しい。

     一方、ガソリンエンジンとはいえ、PHVに搭載されるエンジンは直列3気筒なので、エンジンがかかると振動と騒音に気づかされる。モーター走行での静けさや滑らかさとの落差を強く感じた。

     それでも、3時間の充電で最長42.2kmのモーター走行が可能になるPHVは、日々クルマを利用する人にとって魅力的な選択肢になると思う。また遠出をする際には、ハイブリッド走行で良好な燃費を実現できるのではないか。

    2017年07月14日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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