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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    アイサイトが一段と進化 スバルのレヴォーグなど一部改良(Vol.524)

    • もっとも売れ筋と言われる1600ccエンジン車の軽快な走行感覚が印象的だった(写真は、すべてレヴォーグ)
      もっとも売れ筋と言われる1600ccエンジン車の軽快な走行感覚が印象的だった(写真は、すべてレヴォーグ)

     スバルのステーションワゴンであるレヴォーグと、スポーツモデルであるインプレッサWRX STIが、マイナーチェンジをした。

     マイナーチェンジなので、外観の変更点は分かりにくいかもしれないが、走行感覚はかなりの進化を見せていた。また、運転支援システムのアイサイトに、同一車線内ではハンドル操作も行いながら、クルマが自ら走行を続けるツーリングアシスト機能も追加されている。ただし、今回の試乗は、レヴォーグが8月発売であるため、閉鎖されたコース内のみという限定的な報告である。

    • エンジンと変速機の改良がなされた1600ccエンジン。燃費も約2%改善された
      エンジンと変速機の改良がなされた1600ccエンジン。燃費も約2%改善された

     レヴォーグは、エンジン排気量で2000ccと1600ccの2種類がある。なかでも顧客の8割が選ぶという売れ筋の1600ccエンジン車の改良が印象的だった。エンジン効率の改良に加え、変速機の改善によって気持ちよく加速し、またアクセルペダルの操作に対する応答も向上して、とにかく運転していて楽しい。

     その運転の喜びに加え、マイナーチェンジで静粛性や乗り心地が改善されているため、走り出した瞬間から、上質な室内空間の居心地の良さを実感した。日常的な用途では快適に、運転を楽しみたいときには快活に走る1600ccエンジン車の魅力を印象深く体験した。

     2000ccエンジン車は、元々エンジンの出力に余力があるため、思い通りの加速ができる。高速道路での移動も楽であるはずだ。そこに、乗り心地の快適さがさらに高まることで、ロングツーリングという旅をいっそう満足させてくれるのではないか。

    • 前方の視界もよく、運転しやすい
      前方の視界もよく、運転しやすい

     インプレッサWRX STIは、もともとラリー競技を目指して生まれた車種であり、猛烈な力を発揮するターボエンジンにより、猛然と速度を上げていく走りが魅力である。実際、改めて新旧インプレッサWRX STIに今回試乗し、強烈な速さに感嘆した。

     そのうえで、マイナーチェンジにより快適性の改善が行われている。サスペンションはよりしなやかに動き、路面が荒れた場所で跳ねるような乗り心地が改善されている。だが、今回の試乗が路面のきれいなコースであったため、マイナーチェンジ前のインプレッサWRX STIの獰猛(どうもう)な走りが、かえって印象深かった。

     そして、アイサイト・ツーリングアシストである。

     スバルのアイサイトは、フロントウィンドー上端に取り付けられた二つのカメラで情報を検知し、操作につなげる運転支援システムである。ステレオカメラと呼ばれ、人の目と同じように二つのカメラで前方を監視するため、人間の感覚と同じようにシステムを作動させるところが、他の自動車メーカーの運転支援システムと大きく異なるところだ。

     新たに追加されたツーリングアシスト機能も、このステレオカメラの良さを最大限に生かした内容となっている。

    • フロントグリルに設けられたカメラで、見通しが利きにくい場所での左右確認ができるフロントビューモニターが装備追加された。
      フロントグリルに設けられたカメラで、見通しが利きにくい場所での左右確認ができるフロントビューモニターが装備追加された。
    • 壁から50cm手前の段階で、陰に隠れた歩行者を確認できる
      壁から50cm手前の段階で、陰に隠れた歩行者を確認できる

     アクセルとブレーキの操作は、渋滞速度から高速域まで全速度域で作動するのは従来通りであり、これに、ハンドル操作も同じ速度域で自動的に操作されるところがツーリングアシストの新しさだ。また、同一車線内を維持して走行する際に、車線の白線を認識するだけでなく、前を走るクルマに追従していく機能が併用される。これにより、白線が消えかかっている場合や、渋滞のなかで前のクルマと接近することで白線を認識しにくい状況であっても、前を走るクルマに付いていくことにより車線維持を可能にする。

    • リアウィンドーのカメラで後方をルームミラーに映し出すスマートリアビューミラーが装備追加された。ただし、目の焦点が合いにくい場合もある
      リアウィンドーのカメラで後方をルームミラーに映し出すスマートリアビューミラーが装備追加された。ただし、目の焦点が合いにくい場合もある

     運転支援システムの良否は、人が運転しているときと同様の間合いとかタイミングで操作が行われるかどうかにかかっている。その点、アイサイト・ツーリングサポートはステレオカメラで前を見ているので、まさに人間の感覚に近い作動が行われる。

    • クルマの後ろの障害物への衝突を未然に防止するリバースオートマチックブレーキが装備追加された
      クルマの後ろの障害物への衝突を未然に防止するリバースオートマチックブレーキが装備追加された

     たとえば、車間距離を維持する場合でも、レーダーのように電波によって距離が短いことを認識して初めて減速するのではなく、アイサイトは前のクルマのテールランプが赤く点灯したことから車間距離が詰まることを予測し、構え、減速に入るという作動を行う。それはまさに、人間が状況を察知するのに等しい。

     スバルは、自動運転を目指すのではなく、安全と安心のために機能を進化させていると話す。だが、アイサイト・ツーリングアシストは安全と安心をともに満たす運転支援機能に仕上がっていた。

    (注意)あくまで運転者がハンドルを握ることを前提にしており、万一の際には運転者が責任を負う運転支援の域を出たわけではありません。

    2017年07月25日 10時11分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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