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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    乗用車の快適性とSUVの実用性をともに実現 レンジローバー・ヴェラール(Vol.528)

    • レンジローバーに新しく加わったヴェラールの最上級車種の一つ、R‐ダイナミックSEに試乗
      レンジローバーに新しく加わったヴェラールの最上級車種の一つ、R‐ダイナミックSEに試乗

     ランドローバー社の新しいSUVが、レンジローバー・ヴェラールである。ヴェラールとは、ラテン語で「(ベールで)覆う」の意味であり、1970年に誕生した初代レンジローバーの開発コードネームであったという。あえて、その名称を新しく誕生したSUVに与えることで、レンジローバーの各車種が今後新しく生まれ変わっていく先駆けであることを示しているのだそうだ。

     ヴェラールは、レンジローバー各車のなかでもクロスオーバー車になるという。クロスオーバーとは、乗用車とSUVを掛け合わせたクルマといった意味があり、悪路をものともせず走り抜けるSUV性能を備えながら、市街地での運転がより快適な乗用車的な乗り味を強めた車種である。

    • 屋根が後ろへ行くに従いクーペのように絞り込まれ、スポーティーな印象を与えるデザイン
      屋根が後ろへ行くに従いクーペのように絞り込まれ、スポーティーな印象を与えるデザイン

     実際ヴェラールは、がっしりとした車体を目に焼き付ける姿でありながら、座席部分の窓の面積は小さく抑えられ、後部の屋根が下がっていくクーペのようなデザインになっている。スポーツタイプのように俊敏で活気ある走りを印象付ける姿が、そのまま運転感覚にもあった。

     レンジローバーを名乗る以上、基本的には悪路走破性も確かな水準にあり、それを実現する四輪駆動システムを搭載するので、ヴェラールの車体下側には構造物が集まり、低重心になっている。逆に、運転者が乗る車体上部にはアルミニウムやマグネシウムの合金、また樹脂なども活用し、軽く仕立てられている。

    • 乗用車のような美しいデザインのインテリア
      乗用車のような美しいデザインのインテリア
    • 前進や後退のシフト操作は右下の丸いダイヤル式で行い、手動による変速はハンドル裏側のパドルシフトレバーで行う
      前進や後退のシフト操作は右下の丸いダイヤル式で行い、手動による変速はハンドル裏側のパドルシフトレバーで行う

     用途に応じた上下の素材の使い分けによる構造によって、運転してみると、車両重量が2トン以上あるクルマとは思えないほど身軽な走行感覚を味わうことができた。軽さと共に、前後の重量配分も50:50近いという説明で、前輪荷重は1050キロ、後輪荷重は1010キロという数値に仕上がっている。これにより、ハンドルを操作した際の動きが前後とも遅れたりずれたりすることなく、素直に応答し、旋回していくので爽快な運転気分を味わえるというわけだ。同時に、低重心による安定性も、安心感を覚えさせる。

    • ヴェラールでもっとも性能の高い排気量3000ccV型6気筒スーパーチャージャー付き380馬力のガソリンエンジン。トランスミッションは8速AT
      ヴェラールでもっとも性能の高い排気量3000ccV型6気筒スーパーチャージャー付き380馬力のガソリンエンジン。トランスミッションは8速AT

     エンジンは、4種類ある。ガソリンエンジンの他にディーゼルエンジンも選べる。ただし、今回試乗できたのは、もっとも上級の車種に搭載される排気量3000ccのV型6気筒ガソリンエンジンだった。最高出力は、380馬力に達する。スーパーチャージャーと呼ばれ、エンジンで駆動される過給機を装備するため、アクセルペダルを全開にするような加速を試みると、猛然と速度を上げていった。一方で、走行モードのECOを選んで走っても、そもそも大きな力を備えたエンジンなので、発進から加速まで、ごく自然にクルマの流れに乗せていくことができた。日常的には、ECOモードで十分だろう。

    • 前席は、しっかりとした座り心地で体を支える
      前席は、しっかりとした座り心地で体を支える

     この上級車種は、エアサスペンションが装備されていて、空気の供給、排出により、さまざまに車高調整をすることができる。例えば、乗降の際には、車高を4センチ下げて乗り降りしやすくする配慮もある。走行中の安定性が高く、同時に乗り心地もよい。余計な振動を伝えてこないので、このエアサスペンションは実に快適だ。

     さらに、静粛性に優れるのもヴェラールの特徴である。テストコース内において時速200キロで走行しても、通常通りの会話ができたという事例の紹介もあり、実際に今回試乗をした一般公道の速度域においては、クルマで走っているのを忘れるほどの静粛性があった。

     クーペのように屋根が後ろへ向かって低くなっていく姿を見て、後部座席の空間はどうなのか気になったが、座ってみると、頭上には十分なゆとりが残されるのを確認できた。また、荷室は、リアゲートを開けると思わず広いなという言葉が出るほど、十分な容量があった。

    • 後席は、足元、頭上とも十分なゆとりがある
      後席は、足元、頭上とも十分なゆとりがある
    • 荷室は十分に広く、後席背もたれは4:2:4の分割で前へ倒し込めるので、荷物の量や乗員数に応じた調整ができる
      荷室は十分に広く、後席背もたれは4:2:4の分割で前へ倒し込めるので、荷物の量や乗員数に応じた調整ができる

     クロスオーバー車として、より乗用車的な性能や快適性を採り入れても、SUVとしての実用性は妥協することなく開発されたことを実感させるヴェラールであった。

    2017年10月10日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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