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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    走りや乗り心地の良さを追求 アルファロメオ ジュリア(Vol.530)

    • 低価格車種のジュリアの試乗で、新型の素性のよさを実感することができた
      低価格車種のジュリアの試乗で、新型の素性のよさを実感することができた

     イタリアのアルファロメオから、新型ジュリアが発売された。ジュリアというクルマは、1962年に生まれ、初代が生産を終えた77年以降、車名が途絶えていた。その復活になる。

     同時に、新型ジュリアは、新しいアルファロメオの再出発を記念する車種でもある。イタリアのフィアット傘下で再建をはかってきた時代の車種と異なり、アルファロメオが独自に開発した後輪駆動のプラットフォームと、エンジンを搭載する。競合車種は、ドイツのメルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4などになる。

     ドライバーを意識して開発をしたという新型ジュリアに乗り込み、まず伝わってきたのは、運転姿勢の心地よさだ。きちんと正面を向いて座り、手も足も真っすぐ伸ばしたところにハンドルとペダルがある。前輪駆動車では、なかなかこの姿勢を取るのが難しい。正しい運転姿勢は、自然で力みのない運転操作を可能にする。

     試乗したのは、受注生産となる低価格の車種のジュリアと、四輪駆動のジュリアヴェローチェの2台であった。

     ジュリアの運転を始めて間もなく、ハンドル操作やアクセル操作の反応が、やや敏感すぎる印象を持った。試乗を始めた場所が、やや上り坂の出口から通りに向かう場所であったため、なおさらその敏感さが気になった。だが、しばらく運転するうちに慣れてきて、試乗を終えるまでにはすっかりそのことを忘れていた。

    • 軽快な操縦性で運転を楽しませてくれる
      軽快な操縦性で運転を楽しませてくれる
    • ペダル配置もよく、正対した運転姿勢が取れるので、自在に運転操作ができる
      ペダル配置もよく、正対した運転姿勢が取れるので、自在に運転操作ができる

     試乗しているうちに、自分の運転操作に素早く応答してくれることで、クルマとの一体感を覚えるようになっていた。なので、当初感じた敏感さは、それほど問題視するほどではないが、一緒に同車を試乗した者も、はじめは敏感さを覚えたと言っている。

    • 排気量2000ccの直列4気筒ガソリンエンジンは、8速オートマチックトランスミッションとの組み合わせで心地よい加速をもたらす
      排気量2000ccの直列4気筒ガソリンエンジンは、8速オートマチックトランスミッションとの組み合わせで心地よい加速をもたらす
    • 新型ジュリアはすべての車種にレザーシートを採用する
      新型ジュリアはすべての車種にレザーシートを採用する

     排気量2000ccの直列4気筒エンジンは、ターボチャージャー付きにもかかわらず、アクセルペダルを踏み込むほどに自然に力をみなぎらせ、気持ちいい加速をもたらす。速さを感じさせつつ、猛然というような強烈さがないので、アクセルペダルを踏むことを楽しませてくれる。これに8速オートマチックトランスミッションが組み合わされるが、その変速に気づかないほど滑らかな加速や減速をした。

     アルファロメオが新型ジュリアを開発する際にこだわった一つが、前後の重量配分を50:50とすることであった。そのために、8速オートマチックトランスミッションを後輪側へ搭載するということまでしている。実際、車検証で確認した前後配分は、前が800キロ、後ろが790キロで、ほぼ50:50だ。これにより、ハンドルを切り込んだことへの応答だけでなく、クルマ全体が素直に曲がっていく快さをもたらしている。

     ほかに、新型ジュリアは、すべての車種にランフラットタイヤを採用している。これは、万一パンクした際にも、決められた速度内であればしばらく走行を続けられるという安全なタイヤだ。一方で、空気が抜けても車体を支えるため、タイヤ側面のゴムが厚みを持ち、それによって乗り心地が悪化する懸念がある。だが、新型ジュリアは、ランフラットタイヤであることを気付かせない快適さを保っていた。

     後席は、着座するための足元や頭上のゆとりは確保されているが、スポーティーなデザインにより、見た目の空間はやや狭く感じた。

     ジュリアヴェローチェは、四輪駆動ということで、後輪駆動とは違った加速の手ごたえを味わわせたが、エンジンの馬力が高い分は、四輪駆動による重量増を相殺する高性能化であり、全体的な乗り味は大きく変わるわけではない。

    • 着座姿勢に無理はないが、視覚的にやや狭さを覚えさせる後席
      着座姿勢に無理はないが、視覚的にやや狭さを覚えさせる後席
    • シフトレバー右手の丸いスイッチを操作することにより、エコモードやスポーツモードへの切り替えができる
      シフトレバー右手の丸いスイッチを操作することにより、エコモードやスポーツモードへの切り替えができる

     ドイツの人気車種に競合する4ドアセダンということで、後輪駆動であることや前後の重量配分の最適化にこだわり、走りや乗り心地の良さを追求した成果を感じさせる新型ジュリアであった。販売店には、ライバルであるドイツ車やレクサスに乗った人が来店しているという。そうした期待に応える新車といえる。

    2017年11月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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