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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    EVを意識させない走り 日産 リーフ(Vol.532)

    • 今回試乗をしたのは、装備が充実した最上級車種のG
      今回試乗をしたのは、装備が充実した最上級車種のG

     日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」は2世代目となり、初代の一充電走行距離280キロ(JC08モード)から、400キロとなり、充電の心配はかなり解消された。

     試乗をしたのは、新型リーフの最上級車種であるGグレードだ。これには、日産の最新の運転支援技術である、プロパイロット、eペダル、そして新型リーフから採用されたプロパイロット・パーキングが標準装備となる。車両価格は399万円(消費税込み)ほどだが、エコカー減税、自動車税減税額、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金を合わせると、最大で約55万1000円の優遇措置があるので、約340万円で手に入れることができる。

     初代に比べ、車体の全長が3.5センチ伸びたが、その寸法以上に荷室は見るからに広くなったと感じる。そして9.5インチのゴルフバッグを、2セット横置きに積めるようになった。このような使い勝手の改善からも、普通のクルマの利便性に大きく近づいたことを実感する。

    • ゴルフバッグを横に2セット積載できるほど容積を増やした荷室
      ゴルフバッグを横に2セット積載できるほど容積を増やした荷室
    • 前2座席にはシートヒーターを装備し、空調に比べ電力消費を抑えながら体を温める
      前2座席にはシートヒーターを装備し、空調に比べ電力消費を抑えながら体を温める

    • 丸いシフトレバーの右上に、プロパイロット・パーキングのスイッチがある
      丸いシフトレバーの右上に、プロパイロット・パーキングのスイッチがある
    • 普通のクルマ化を目指した新型の室内は、先進的なデザインからエンジン車で見慣れたデザインに変わった
      普通のクルマ化を目指した新型の室内は、先進的なデザインからエンジン車で見慣れたデザインに変わった

     一充電走行距離が約40%伸びた効果はどうであろう。運転席に座って気付くのは、電気の残量計が小さくなったことだ。エンジン車のガソリン計ほどである。初代では、メーター内に大きく目立つようにあったのと比べると、明らかに充電量への不安が解消したのを想像させる。

     今回は、半日を使って往復100キロほどのドライブをした。EVであることによる静粛性はもちろん、振動の少なさや、加速の滑らかさに加え、同乗者との会話を楽しむこともできた。たまに、残量計に目を落としても、半分以上の電気が残っていることに安心するのである。

     高速道路や自動車専用道路などの同一車線内で、前を走るクルマとの車間距離を維持しながら一定速度で追従走行を自動で行い、カーブでは自動でハンドル操作を行うことのできるプロパイロットを試すと、モーターで走るEVであることによる速度調節の滑らかさや、人が運転するときと同じような自然さが、いっそう際立つのを体感した。エンジンに比べ応答性に優れ、また変速機(トランスミッション)を必要としないEVならではの良さが、運転支援の制御に効果的であることを知るのである。

    • 後席のゆとりは十分だが、床下にバッテリーを搭載するため、やや足が持ち上がった着座姿勢になる
      後席のゆとりは十分だが、床下にバッテリーを搭載するため、やや足が持ち上がった着座姿勢になる
    • モーターと制御装置が収まるクルマ前部。エンジン車と違ってトランスミッション(変速機)はない
      モーターと制御装置が収まるクルマ前部。エンジン車と違ってトランスミッション(変速機)はない

    • 今回の試乗途中に、パーキングエリアで急速充電も試した
      今回の試乗途中に、パーキングエリアで急速充電も試した

     日産の小型車ノートe-power(イー・パワー)で先に導入されたeペダルという、右足のアクセルペダルだけで、加減速から、上手にタイミングをはかれば停止までできてしまう機能についても、モーター走行を前提に開発された装置であるから、新型リーフでも同様に扱える。ただし、高速道路で使いこなすには、すこし技術が必要で、高速道路ではeペダルを使わない方が、速度調節をより滑らかにできる。eペダルは、発進・停止を頻繁に行う市街地など一般道での利用が便利だ。

     新型リーフで新採用のプロパイロット・パーキングは、大変便利で実用的だった。操作は、シフトレバー近くのスイッチを押すことから始まる。駐車したい場所の近くでスイッチを入れると、駐車場所を指定する案内がカーナビゲーション画面に映し出される。そこでよければ、駐車開始を画面タッチしたあと、シフトレバー近くのスイッチを押し続ければ、あとは、ハンドル操作と前後への切り替えのすべてを自動で行う。そして駐車位置に収まったら、自動で停止し、シフトレバーを自動でPに入れ、駐車ブレーキも自動で作動する。

    • 左上は、ステアリングヒーターのスイッチで、ハンドルを握る手を直接温めることができる
      左上は、ステアリングヒーターのスイッチで、ハンドルを握る手を直接温めることができる

     狭い場所で何度も切り返しをする場面でも、素早く自動操作し、その手際は人が運転する場合とほぼ同じ早さだ。地下駐車場のようなやや暗い場所でも試したが、ピタリと駐車位置に収まった。

     結論として、このプロパイロット・パーキングの機能一つだけをとっても欲しくなるクルマであった。しかも、電気自動車としての走行距離に対する不安もない。プロパイロット・パーキングが欲しくて購入したら、それが電気自動車だったと、後から気付いてもおかしくないほど、新型リーフはEVかエンジン車かを議論させない普遍性を実現していた。

    2017年12月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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