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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    高速走行が似合うBMW「X3」 (Vol.534)

    • 今回試乗したのは、X3の最上級車種であるX3 xDrive20d M Sportである
      今回試乗したのは、X3の最上級車種であるX3 xDrive20d M Sportである

     独BMWの中型SUV(スポーツ用多目的車)が、「X3」である。ただし、BMWではSUVと言わず、SAVと呼ぶ。スポーツ・アクティビティ・ヴィークルの意味だ。SUVよりスポーティーな運転感覚を特徴とする。

     象徴的なのが装着されるタイヤで、SUVで使われる舗装路も未舗装路も走行可能な種類ではなく、X3には、スポーツカーで使われる特定メーカーのタイヤが装着されている。

     実際にハンドルを握って走ってみても、そうした高速走行性能に特化した性格を実感する。乗り心地は、やや突っ張ったような感触で、路面のうねりをそのまま車体を突き上げるように乗員に伝え、椅子に座っている体が上下に揺すられてしまう。未舗装路での走行も視野に開発されるSUVの多くは、路面変化があってもタイヤがしなやかに上下動することで、凹凸をいなすようにし、乗員の体にはあまり衝撃を伝えにくくしている場合が多い。

     X3は、山間の屈曲路を速い速度で走らせてみると、あたかもスポーツ車種を運転しているかのように姿勢は安定している。着座位置が高いことによる目線の高さが背の低いスポーツカーとは明らかに異なるが、カーブを曲がっても車体の傾きは少なく、走行感覚はまさにスポーティーだ。

    • 後退時には、カーナビゲーション画面に車両の後ろの画像が映し出され、同時に、クルマを真上から見た周囲の様子も確認できる
      後退時には、カーナビゲーション画面に車両の後ろの画像が映し出され、同時に、クルマを真上から見た周囲の様子も確認できる
    • 荷室は十分に広く、また出っ張りの少ない載せやすい作りになっている
      荷室は十分に広く、また出っ張りの少ない載せやすい作りになっている

     今回試乗したのは、ディーゼルエンジンのMスポーツという最上級車種である。ディーゼルエンジンの排気量は2000ccで、ターボチャージャーによる過給が行われ、最高出力は190馬力である。ガソリン1リットル当たりの燃費(JC08モード)は、17.0キロとなる。組み合わされるトランスミッションは、8速オートマチックだ。

     2トン近い1890キロの車両重量(オプションのサンルーフ装着のため)に対してこのディーゼルエンジンは、はじめのうち加速にパンチ力がなく、面白みに欠ける印象を与えた。だが、速度を上げていくにしたがって活気を帯びてきた。

    • エンジンは、排気量2000ccのディーゼルターボで、最高出力は190ps、燃費は17.0km/Lである。トランスミッションは、8速ATが組み合わされる
      エンジンは、排気量2000ccのディーゼルターボで、最高出力は190ps、燃費は17.0km/Lである。トランスミッションは、8速ATが組み合わされる
    • ディーゼルエンジンのため、燃料は軽油を使う
      ディーゼルエンジンのため、燃料は軽油を使う

    • 見晴らしのいい運転席だが、運転感覚はスポーツカーのように安定している
      見晴らしのいい運転席だが、運転感覚はスポーツカーのように安定している

     この試乗記でも何度か紹介していると思うが、ヨーロッパでは一般道でも郊外に行けば時速80~100キロで走行するのが一般的だ。したがって、ヨーロッパ車はその速度領域で一番魅力を発揮する走行性能が作り込まれる傾向にある。なおかつドイツでは、速度無制限区間のあるアウトバーンがあるため、このようなSUVであっても時速200キロで走ることが当たり前になってくる。

     X3も、そうした高速域で快適に使えるクルマに仕立てられていることを、時速80キロくらいまで速度を上げた際に実感した。

     高速域で安定した乗り味のつくり方は、後席の快適性にもつながってくる。カーブで車体が左右へ揺れにくいので、落ち着いて座っていられる。なおかつ、後席は床との高さが十分確保されて、足を真っすぐ下ろすことができ、(もも)を座面で支える座り方ができるので、体を安定させやすい。

    • 後席は、座席と床とに十分な高さがあるため、足を下ろして座れ、腿がクッションで支えられるので体を安定しやすい
      後席は、座席と床とに十分な高さがあるため、足を下ろして座れ、腿がクッションで支えられるので体を安定しやすい
    • 試乗車には、注文装備の電動パノラマ・ガラス・サンルーフが装着されていた
      試乗車には、注文装備の電動パノラマ・ガラス・サンルーフが装着されていた

     ディーゼルエンジン独特の騒音については、車外では結構カラカラという音が気になるが、車内に居るとほとんど気付かないほど遮音されており、室内では中型乗用車相当の静粛性があって、快適だ。

     SUVを所有していても、ほとんど市街地の移動とか、高速道路を使っての遠出でも舗装路を走ることが多い人にとって、X3は快適な走りを存分に提供してくれる一台と言えるだろう。そのうえで、未舗装路へ踏み出す際には、最低地上高を約20センチ確保してあるので、床を擦る心配はあまりないはずだ。

    2018年01月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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