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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    燃費と安全性能が大幅に向上 スズキのスペーシア(Vol.536)

     スズキの軽自動車「スペーシア」が全面改良された。車高が高いハイトワゴン、またはトールワゴンというタイプで、外観の違いなどにより、スペーシアとスペーシアカスタムの2車種があり、好みによって選ぶことができる。

    • スペーシアカスタムは、ややいかつい顔つきのデザインが特徴
      スペーシアカスタムは、ややいかつい顔つきのデザインが特徴
    • スペーシアは、運転のしやすさや安心感の詰まったハイトワゴンだった
      スペーシアは、運転のしやすさや安心感の詰まったハイトワゴンだった

    • 後席は、左右分割の背もたれを前方へ倒し込むことで、荷室床面積を広げられる
      後席は、左右分割の背もたれを前方へ倒し込むことで、荷室床面積を広げられる
    • 後席の前後スライドを一番前まで移動しても、見た目ほど窮屈ではなく足元にゆとりを残す
      後席の前後スライドを一番前まで移動しても、見た目ほど窮屈ではなく足元にゆとりを残す

     新型スペーシア・スペーシアカスタムには、共通した新たな取り組みがある。

     一つは、動力がすべての車種でマイルドハイブリッドになったことだ。交流発電機のオルタネーターを改良し、モーター機能を持たせた。この簡易型ハイブリッドを、排気量660ccの直列3気筒ガソリンエンジンと組み合わせることにより、動き出しをモーターのみで行えたり、加速の際にモーターの助力を得てエンジンをあまり高回転へ回さず滑らかな加速が得られたりする。

     これにより、静かで快適な運転ができたり、燃費を向上させたりできる。また、スペーシアカスタムには、このマイルドハイブリッドのままターボチャージャーで過給する高性能エンジン仕様も選べる。

     二つ目の新たな取り組みは、国土交通省や経済産業省などが普及を推進する「セーフティ・サポートカー(略称サポカー)」の「サポカーSワイド」の安全機能を採用していることだ(非装着車の選択肢もある)。

     サポカーとは自動ブレーキ搭載車の愛称で、政府が命名した。とくに、サポカーSワイドは歩行者を対象に含む自動ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報、先進ライト(自動切り替え型前照灯等)を装備し、高齢運転者に推奨される機能を有しているクルマを言う。

     燃費と安全で、大きく性能を向上させたことは、運転で実感できる。運転して、スペーシア、スペーシアカスタムの両車にいえるのは、2017年の国内新車販売台数で1位となったホンダN-BOX同様のハイトワゴンでありながら、格段に安定感のある走りをすることだ。低速で街角を曲がるときも、速度を上げてカーブを曲がるときにも、しっかりタイヤが路面に踏ん張って、余計な車体の傾斜を起こさず、不安なくハンドルを切ることができる。いくら室内の広さがあっても、カーブで不安定では出かけるのが億劫(おっくう)になるだろう。スズキの確かなクルマ作りを実感させた。

    • 前後左右の見晴らしがよく、運転しやすい
      前後左右の見晴らしがよく、運転しやすい
    • 前席へも後席へも乗り降りしやすいよう、床は低く抑えられている
      前席へも後席へも乗り降りしやすいよう、床は低く抑えられている

     また、マイルドハイブリッドを採用したエンジンは、加速の際にエンジンが余計に回ってうなりをあげることが少なく、室内は静粛が保たれて快適だ。停車してアイドリングストップをしたあと、発進の際に、エンジン再始動のためスターターモーターのキュルキュルという騒音が出ないのもよい。

     スペーシアカスタムのターボエンジン車では、さらに、出力のゆとりを感じることができ、なおかつ、ターボエンジン特有の急加速がなく、より排気量の大きいコンパクトカーのエンジンのように自然でなめらかな加速が得られる。

    • エンジンを始動すると、カーナビゲーションの画面に、周囲の安全を出発前に確認できるカメラ映像が映し出される
      エンジンを始動すると、カーナビゲーションの画面に、周囲の安全を出発前に確認できるカメラ映像が映し出される
    • フロントウィンドーに映し出されるヘッドアップディスプレイは表示が明瞭で、速度などを確認しやすい
      フロントウィンドーに映し出されるヘッドアップディスプレイは表示が明瞭で、速度などを確認しやすい

     オプション装備の、フロントウィンドーに映し出されるヘッドアップディスプレイは、表示が明瞭で大変よい。メーターへ目線を下げなくても速度などの情報を、前方を見たままで得られるので、見落としが少なく安心だ。同じくオプションのカーナビゲーションによる、全方位モニターを使った3Dビューは、エンジン始動後の発進前にクルマの周囲360度を画面に映し出し安全を確認できるので、出発前の安全確認の一助となる。

     生活の足として毎日利用されることの多い軽自動車の、安心や安全、快適を、細部にまで気配りされた新型車であった。

     唯一残念なのは、ハンドル調整のテレスコピック機構(前後方向の調整機能)がいまだに採用されない点だ。これは、スズキに限らないことだが、運転の基本である運転姿勢を正しくするうえでも、一刻も早い採用を、軽自動車や小型車を販売するすべての自動車メーカーに強く求めたい。

    2018年02月06日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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