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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    大型車を感じさせない軽快な運転感覚 レクサス「LS500」(Vol.537)

    • ツインターボエンジン車のF SPORT。ハイブリッド車よりも運転感覚が軽快で、印象深かった
      ツインターボエンジン車のF SPORT。ハイブリッド車よりも運転感覚が軽快で、印象深かった

     レクサス「LS」(国内では当初、トヨタ・セルシオの名前で販売)は、約11年ぶりのフルモデルチェンジにより、5世代目「LS500」となった。新しい車台を使い、外観はクーペを思わせる流麗な姿の4ドアセダンとなっている。車体寸法は、前型に比べひと回り大きくなったが、開発責任者は「ひと回り小さなクルマを運転しているような操縦性に仕上げた」と話す。

    • 新開発された3500ccV型6気筒ツインターボエンジンは、カバーで覆われ、その姿はほとんど見えない
      新開発された3500ccV型6気筒ツインターボエンジンは、カバーで覆われ、その姿はほとんど見えない

     新型LSは、新開発された排気量3500ccのV型6気筒ツインターボエンジンと、同じく排気量3500ccながらモーターと組み合わせたハイブリッドという2種類の動力を用意している。ツインターボエンジンには、10速オートマチックトランスミッション(AT)が組み合わされる。

     結論を先に言えば、その新開発のツインターボエンジン車の運転感覚が、非常に印象深かった。まさに開発責任者の言葉通り、車体の大きさを感じさせない小気味よい運転感覚を楽しませてくれた。

    • ゆったりと座れる後席だが、もう少しサスペンションの動きを生かした上質な乗り心地になると、より良い
      ゆったりと座れる後席だが、もう少しサスペンションの動きを生かした上質な乗り心地になると、より良い
    • 荷室は高さ、奥行きともにたっぷりある
      荷室は高さ、奥行きともにたっぷりある

     新型LSの全長は5.2メートルを超え、全幅は1.9メートルに達する。これは、メルセデス・ベンツSクラスに相当する寸法だ。したがって、停車している姿を見ると、いかにも大きい。また、一般道を運転しているときには、やはり横幅が広いと意識させられる。

     しかしながら、新しいツインターボエンジンの柔軟な動力性能により、発進から、加速、速度調整、巡航、追い越しなどあらゆる運転状況において、寸分の遅れもなく車速を調節することができ、2トンを超える車両重量を意識させない軽快な運転感覚をもたらしている。

    • EXECUTIVE(エグゼクティブ)など上位グレードの後席には、リヤマルチオペレーションパネルがひじ掛けに設定され、オーディオや空調の調節を後席でできる
      EXECUTIVE(エグゼクティブ)など上位グレードの後席には、リヤマルチオペレーションパネルがひじ掛けに設定され、オーディオや空調の調節を後席でできる
    • 運転中は、横幅がかなり広く感じられるが、走行感覚はかなり軽快
      運転中は、横幅がかなり広く感じられるが、走行感覚はかなり軽快

     また、操縦安定性や乗り心地の仕上がりもなかなかよいと感じた。6種の走行モードの切り替えがあり、コンフォートが標準で、ほかにスポーツモードや、スポーツモードをさらに極めたスポーツ+(プラス)モードも一般公道で試したが、いずれも乗り心地を不快にするようなことはなかった。ただ、後席に座った際には、サスペンションの上下の動きが十分に生かされていないような、路面の凹凸による小さな振動がすぐに収まらない場面があったのは残念だ。

     とはいえ、少なくとも運転者にとっては大柄で動きの鈍重な4ドアセダンという印象はなく、小型のスポーティーな車種を運転しているかのような楽しささえあった。

    • ハイブリッド車のEXECUTIVEグレード。スポーティー仕様のF SPORT(Fスポーツ)とは、ラジエーターグリルやバンパーのデザインが異なる
      ハイブリッド車のEXECUTIVEグレード。スポーティー仕様のF SPORT(Fスポーツ)とは、ラジエーターグリルやバンパーのデザインが異なる
    • 最上級のEXECUTIVEグレードの後席に装備される、リヤシートエンターテインメントシステムで、映像や音楽を楽しめる
      最上級のEXECUTIVEグレードの後席に装備される、リヤシートエンターテインメントシステムで、映像や音楽を楽しめる

     一方、ハイブリッド車「LS500h」のほうは、ターボエンジン車に比べ60キロほど車両重量が重くなり、それによって走行感覚がかなり違ってくる。また、アクセル操作に対する加速の応答もやや遅れ気味のところがある。動力性能に不足があるわけではないが、ターボエンジン車と比較すると、ごく普通の4ドアセダンという印象を超えられてはいない。

     また、ハイブリッド車に使われるV型6気筒エンジンは騒音がやや大きく感じた。ハイブリッド車というと、モーター走行や、モーターによる加速の補助などにより、全体的に静かな走りとの印象があるが、この騒音に関しても、エンジン性能を上手に使うターボエンジン車の方がかえって静かに思えたほどだ。

     動力機関の仕様や車両重量の違いで、ずいぶん乗り味が異なると感じた。

     とはいえ、新型レクサスLSは、ハイブリッド車であっても格段の進化をしており、レクサスの旗艦車種として圧倒的な存在感を持っていることは間違いない。

    2018年02月27日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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