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    モータージャーナリストの御堀直嗣さんが、話題の新車に試乗、乗り心地、性能ついて詳しくお伝えするコーナーです。

    ヨーロッパの走りを堪能 ジャガー「E-PACE」(Vol. 543)

    • 新登場のコンパクトSUVジャガーE-PACE(イーペイス)の最上級車種であるR-DYNAMIC HSEに試乗した
      新登場のコンパクトSUVジャガーE-PACE(イーペイス)の最上級車種であるR-DYNAMIC HSEに試乗した

     イギリスのジャガーから、スポーツ用多目的車(SUV)「E-PACE(イーペイス)」が発売された。ジャガーには「F-PACE」というSUVがあり、イーペイスはそれよりひと回り小さなSUVだ。しかし、そのデザインは、スポーツ車種の「F-TYPE」を意識していて、走行感覚もスポーティーさを重視しているという。

     実車を見ると、SUVながらスタイルが勇ましく、素直に格好いいと思えるデザインであった。試乗車は、ガソリンエンジンのR-DYNAMIC HSEという最上級車種で、装着されるタイヤは扁平(へんぺい)率が45%と、横から見ると厚みが薄く見える種類が選ばれている。

    • スポーティーな車種を目指して開発され、流れるようなデザインの後ろ姿が格好いい
      スポーティーな車種を目指して開発され、流れるようなデザインの後ろ姿が格好いい
    • 荷室は余計な出っ張り部分がなく、積み込みがラクそうだ
      荷室は余計な出っ張り部分がなく、積み込みがラクそうだ

     そのせいもあるだろう、運転し始めると乗り心地がかなり硬いと感じた。まさにスポーツカーのような乗り味である。ゴツゴツとした硬さが体に伝わるほどだが、時速80キロほどの速度に高まると、路面の衝撃を巧みにいなす、しなやかさが出てきた。

     ヨーロッパの場合、日本より速度規制が緩やかで、郊外の一般道であれば、時速80キロほどで走ることができる。たとえばジャガーの母国であるイギリスでは、郊外では時速50マイルの速度規制が敷かれている。キロ表示だと約80キロだ。郊外の緩やかなカーブが連続する交通量の少ない道を、その速度で運転すると、とても気持ちいい。そういう交通環境でもっとも味わい深い走りを堪能できるクルマがヨーロッパ車には多いのである。

     イーペイスも、まさにそうしたヨーロッパの運転感覚を味わわせてくれるクルマであることがわかった。国内の一般道ではまず無理だが、自動車専用道路などへ行けば、そうしたヨーロッパ流の走りを堪能できるだろう。

     エンジンは、排気量2000ccのディーゼルターボと、2000ccのガソリンターボがあり、さらにガソリンターボには、同じ排気量ながら最高出力249馬力と300馬力の仕様がある。今回試乗したのは、前者であった。

    • エンジン出力は249馬力で、十分な加速をもたらした
      エンジン出力は249馬力で、十分な加速をもたらした
    • グレードによって選択肢が異なるが、内装色の組み合わせを選べるのもイ-ペイス購入時の楽しみの一つ
      グレードによって選択肢が異なるが、内装色の組み合わせを選べるのもイ-ペイス購入時の楽しみの一つ

     アクセルペダルを深く踏み込んだときの伸びやかな加速が快い。この伸びやかさが、先の時速80キロ前後で走行する際、運転手に心地よさを与えてくれる。日本の場合、エンジン性能としては、馬力の小さなガソリンターボエンジンで十分だと感じた。

     一方で、おだやかにアクセルペダルを踏み込んだのに、加速が急に強まるときがあった。いつもではなく、何かの拍子に突然そのような状態になる。また、停車した状態から、少しだけクルマを移動したいとき、アクセルペダルをわずかに踏み込んでもすぐに動き出さないこともあった。それ以上強く踏み込むと勢いよく発進してしまいそうで、気掛かりだった。これらは今後の改善に期待する点である。

    • ジャガー車のシフト操作は円形スイッチが主流だが、イ-ペイスはスポーティーさを出す方式となっている
      ジャガー車のシフト操作は円形スイッチが主流だが、イ-ペイスはスポーティーさを出す方式となっている
    • 後席に注文装備のシートヒーターがあり、体を直接温めてくれて心地よい
      後席に注文装備のシートヒーターがあり、体を直接温めてくれて心地よい

     後席でも、足元や頭上の空間にゆとりがあり、居心地が快適だ。試乗車には、ガラスサンルーフが装備され、内側の日よけを開けておくと室内が明るくなって晴れやかな気分になる。ただ、やはり気掛かりだったのは、運転者のハンドル操作に敏感で、クルマが大きく左右へ動くため、何度もそれが続くと少し車酔いしそうになったことだ。

    • コンパクトSUVとはいえ、後席の座席や空間には十分なゆとりがあった
      コンパクトSUVとはいえ、後席の座席や空間には十分なゆとりがあった
    • 注文装備のパノラミックガラスサンルーフは、室内空間を明るい気分にする
      注文装備のパノラミックガラスサンルーフは、室内空間を明るい気分にする

     急な加速やハンドル操作に伴う急な動きなどは、全体的な仕上げにまだ余地を残した状態ではないかと思う。改善が進めば、デザインや車体寸法、前方の見通しの良さなど、国内で使う上で魅力の多いコンパクトSUVではないかと思った。

    2018年05月22日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    御堀直嗣   (みほり・なおつぐ
     1955年、東京都生まれ 。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。 スキューバダイビングや乗馬を楽しむアクティブ派でもある。
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