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    ダイハツの軽自動車の試乗記です。

    人生に寄り添うクルマ、軽

    軽自動車は日本に最適サイズ

    • 「生活を彩る自分仕様の軽自動車」として誕生した、新ジャンルのダイハツ・キャスト
      「生活を彩る自分仕様の軽自動車」として誕生した、新ジャンルのダイハツ・キャスト

     今年4月に引き上げられた軽自動車税への事前の駆け込み需要などによる、その後の軽自動車販売の落ち込みが話題となりがちだ。しかし、それでも9月の販売実績で36%のシェアを軽自動車は確保し、底堅い人気を保っている。

     改めて言うまでもないが、軽自動車は日本人の生活を支える大切な存在だ。乗用の軽はもちろん、配達や運搬に活躍する商用の軽も日々不可欠な存在である。

     欧米のように都市規模の小さい地域では、日常生活にクルマは欠かせない。毎日、クルマに乗る人たちにとって、経費の安さは大前提だ。そこが、軽自動車の基本価値ではあるけれど、それだけで昨年の市場の41%ものシェアを確保した販売実績を達成できるものではない。

    • 街でよく見かける商用の軽トラック、ハイゼット・パネルバンハイルーフ
      街でよく見かける商用の軽トラック、ハイゼット・パネルバンハイルーフ

     実際、いまの軽自動車を見て、乗ってみれば、クルマとしての魅力に(あふ)れていることがわかるだろう。

     アクセルを踏んだとき、ターボエンジン車でなくても思い通りの加速ができるほどにエンジン性能は向上している。しかも、燃費は30km/L前後が当たり前だ。

     乗り心地も快適である。軽量化された車体によって、自然吸気エンジンでもよく走るようになり、その分、エンジンがうなりを上げるような騒音が改善されている。

     燃費向上のためのアイドリングストップは、停車中の静けさに貢献し、信号待ちが一つの安らぎの時間にもなる。

     軽自動車という枠組みの範囲で、一般的な乗用タイプから、室内が広いハイトワゴン、レジャーに最適なSUV(スポーツ用多目的車)、そしてスポーツカーまで(そろ)い、多彩な商品性を備える。

    • 軽オープンスポーツカーのコペンで第3の意匠となる「コペン セロ」
      軽オープンスポーツカーのコペンで第3の意匠となる「コペン セロ」

     3.6m幅の道路がまだ多い国内の道路事情において、車幅が1.48mという軽規格の車体寸法は、対向車とのすれ違いなどにおいても運転の楽さをもたらしてくれる。この軽自動車の現在の寸法は、昭和40年代の大衆車、初代カローラなどとほぼ同じということもあって、日本でもっとも扱いやすい適正サイズなのである。

     いくつもの魅力を備えた軽自動車のなかでもダイハツが目指すのは、人々の生活に寄り添う、使い勝手のやさしいクルマだ。前後のドアが90度近く開いて乗り降りがしやすかったり、室内のゆとりだったり、ちょうど欲しいところに物入れのある便利さだったりする。

    軽の福祉車両がウナギのぼりの人気

    • タントスローパー(車いす移動車)にもカスタムの用意がある
      タントスローパー(車いす移動車)にもカスタムの用意がある

     高齢化社会が進むなか、軽の福祉車両が人気を高めている。

     日本自動車工業会(JAMA)によれば、2014年度の福祉車両の販売台数は、過去最多の4万7869台に達し、前年度を8.3%上回ったという。

     このうち、軽の福祉車両の伸びがとくに顕著で、それまで過去最多だった2013年度からさらに20%の伸びになったという。軽の福祉車両なら、狭い路地でもスイスイ入ることが出来るし、家の前にクルマをつけやすくなる。ここにも、軽人気の底堅さが表れている。

     福祉車両は、特別な存在ではなくなってきている。従来は特別仕立てで製造しなければならず、高価な存在だったが、近年は、新車開発当初から福祉車両としての用途を視野に設計が進められ、コスト低減が行われている。こうして、障がい者や高齢者にとっては、健常者以上に移動に欠かせぬ手段として注目を集めはじめているのである。

     また、福祉車両は、消費税の非課税措置や、軽自動車税・自動車取得税が減免されることもある(地方税のため自治体により制度に差がある)。

     そのうえさらに、福祉車両が軽自動車であれば、車両価格も経費も安くあがり、生活を充実させてくれる身近なパートナーとなれるのである。

    • タントウェルカムシート(昇降シート車)は、センターピラーがドアに内蔵されたミラクルオープンドアにより、助手席シートの回転昇降時に足元のスペースに余裕があるため、乗り降りがより楽にできる
      タントウェルカムシート(昇降シート車)は、センターピラーがドアに内蔵されたミラクルオープンドアにより、助手席シートの回転昇降時に足元のスペースに余裕があるため、乗り降りがより楽にできる

     ダイハツの場合、福祉車両はフレンドシップシリーズと総称されており、2つのタイプがある。車いすのまま乗り込める車いす移動車と、助手席あるいはリヤシートが電動で回転昇降しクルマへの乗り降りを楽にする昇降シート車だ。どちらも介護をする人が運転する介護式福祉車両となる。

     車いす移動車は、タント、タントカスタム、アトレーワゴン、ハイゼットカーゴから選べ、スローパーと名付けられる。

     昇降シート車は、タント、タントカスタム、ムーヴ、ムーヴカスタム、アトレーワゴンから選べ、助手席が回転昇降するタントシリーズはウェルカムシート、同じくムーヴシリーズはフロントシートリフト、リヤシートが回転昇降するアトレーワゴンは、リヤシートリフトと名付けられる。

     タントやムーヴの場合、外観が異なるカスタムにも福祉車両が設定される。また、フロントウィンドーにカメラを搭載した運転支援機能、スマートアシストIIの採用による先進の安全・安心機能が、福祉車両でも同様に手に入るようになった。

    気軽に相談できるフレンドシップショップ

    • 都内にあるダイハツのフレンドシップショップ
      都内にあるダイハツのフレンドシップショップ

     福祉車両が充実しているとはいえ、どこで買えるの?

    街中の販売店(ディーラー)で福祉車両を見られるのか? 試乗できるのか?……わからないことだらけではないだろうか。

     ダイハツは、福祉車両をフレンドシップシリーズと総称し、実際に車を見て、体験試乗し、相談できる店を、フレンドシップショップとして全国展開している(15年10月現在で130店)。基本的にダイハツは、直営店舗のほとんどを今後フレンドシップショップとしていく方針だ。

     フレンドシップショップの条件は、店がバリアフリーであること、営業スタッフが福祉車輌取扱士の有資格者であること、そして福祉車両の実車を見て試乗できること、の3つを満たしていなければならない。

     そのうちの一店を訪ねた。

    (※)一般社団法人 日本福祉車輌協会が認定する資格

    • 車いすから乗り降りする人や介助を必要とする人のための駐車スペースが、店の入り口近くに設定されている
      車いすから乗り降りする人や介助を必要とする人のための駐車スペースが、店の入り口近くに設定されている
    • 駐車場から店に入るドアのところも段差がなく、バリアフリー
      駐車場から店に入るドアのところも段差がなく、バリアフリー

     店の入り口にもっとも近い駐車場所が、車いすから乗り降りする人や介助を必要とする人のために用意されていた。そして、店の入り口には段差がない。車いすの人に対応したバリアフリーのトイレもある。

    • フレンドシップショップに入ると、すぐ近くに福祉車両が展示されており、そのまま試乗もできる
      フレンドシップショップに入ると、すぐ近くに福祉車両が展示されており、そのまま試乗もできる

     店に入ると、もっとも近い場所に福祉車両が展示されており、そのクルマに、試乗することができる。

     福祉車輌取扱士の有資格者で営業歴5年という高橋さんに、フレンドシップスタッフとなっての感想を聞いてみた。

    「以前から、福祉車両を扱っていましたが、講習を受け、資格を取得したことによって、実際にお使いになる際の背景や状況、お乗りになる方のお気持ちなどを十分に聞き、場合によっては、お客様の当初のご希望とは違った最適な選択肢を提案できるようになりました。

     たとえば、介護をなさるご家族は、車いすのまま乗れるスローパー車をご希望されていましたが、乗られるお母さまがそれまで助手席に座ってこられたということで、従来通り助手席に乗って移動していただけるウェルカムシート車をお薦めしたことがあります。そのほうが、移動中の会話もしやすくなります」

    • フレンドシップショップの営業スタッフは、基本的に全員が福祉車輌取扱士の資格を持ち、フレンドシップスタッフとして、気軽になんでも相談に応じてくれる
      フレンドシップショップの営業スタッフは、基本的に全員が福祉車輌取扱士の資格を持ち、フレンドシップスタッフとして、気軽になんでも相談に応じてくれる

     左側のセンターピラーをドアに内蔵したミラクルオープンドア。この間口の広いスライドドアを備えたタントの場合、ウェルカムシートの助手席シートが回転昇降する際には、乗降者の足元スペースに余裕があるため、乗降性に優れて介助のしやすい福祉車両になっているという。

     「タントは、もともとお客様の声を反映したクルマ作りになっています。そこが福祉車両として、とても扱いやすい仕上がりになっているのですね。

     それまではタクシーを呼ぶなどの手間をご家族に気遣いながら頼んでいたけれど、自宅に福祉車両があることで、外出をより気楽にできるようになったと喜ばれる声もお聞きしています」

     福祉車両を店に置いているだけでなく、各家庭の事情に合った最適な一台を選ぶ相談に乗ってもらえる店が、フレンドシップショップというわけだ。

     クルマがあることで広がる生活。そこに、軽自動車や福祉車両は、不可欠な存在としてますます重要度を高めている。

    ◇   ◇   ◇

     さて、10月30日(金)から11月8日(日)まで一般公開となる第44回東京モーターショーのダイハツブースでは、軽自動車をさらに身近に、そしてすべての人に使い勝手のよいクルマを目指したコンセプトカーが展示される予定。必見だ!

    <モータージャーナリスト:御堀直嗣>

    2015年10月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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