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    トヨタの新車試乗記です。

    走りと美しいデザインで魅了する新型カムリ

    TNGAにより全てをゼロから開発

    • TNGAにより、全てが一新されたカムリ
      TNGAにより、全てが一新されたカムリ

     今年は、世界初の量産ハイブリッドカーである「プリウス」が発売されてちょうど20年という節目になる。また、プリウスの発売以降、トヨタはほかの車種にもハイブリッドシステムを搭載し、今年は、トヨタが世界で販売したハイブリッドカーの合計が1000万台を突破することも重なった。そんなトヨタの最新ハイブリッドカーが、今年7月に発売された新型「カムリ」である。

     1980年、セリカの4ドア版となる「セリカ・カムリ」として誕生したカムリは、82年にグローバルな4ドアセダンとして世界各国に販売を拡大した。とくに北米では高い評価を得て、2002年以降15年連続で乗用車販売ナンバーワンを記録する大記録を打ち立てたビッグネームである。

     トヨタは現行のプリウスから、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA/Toyota New Global Architecture)と呼ばれる開発方針を取り入れている。TNGAは、トヨタが全社を挙げてグローバルに取り組むクルマづくりの構造改革で、パワートレーンユニットやプラットフォームなどを一新し、全体最適を考えて新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指す取り組みである。

     カムリはゼロからTNGAの方針で開発された新車である。TNGAの思想では、重心を低くすることが重要視されており、カムリもこの考えが持ち込まれ、エンジンはもちろん乗車位置まで低く設定されている。先代に比べて全高は25ミリ低く、フロントのボンネットフードにおいては40ミリも低くなった。加えて、全幅は15ミリ拡幅、全長は35ミリの延長が行われている。

     TNGAによる開発の結果、デザインの面では、トヨタが全モデルでの共通化を推し進めているキーンルックと呼ばれるフロントまわりの意匠を組み合わせたことで、よりワイド&ローなスタイリングを実現している。ボディー全長の延長に合わせて伸ばされたルーフやCピラーによる流麗なスタイリングとともに、セダンに求められる後席の居住性向上にも目が配られたデザインとなっている。

    • キーンルックと名付けられた、ワイド&ローを強調するフロントデザイン
      キーンルックと名付けられた、ワイド&ローを強調するフロントデザイン
    • フロントボンネットは低く抑え、ルーフが長く後席の居住性を満たしながら流麗な姿を実現している
      フロントボンネットは低く抑え、ルーフが長く後席の居住性を満たしながら流麗な姿を実現している

    切れ味よく正確な運転感覚

     TNGAの効果はスタイリングにだけ表れたものではない。基本レイアウトが低くなったことに加えて、サスペンションも刷新された。前輪駆動(FF)化された1982年以降、前後にストラット式のサスペンションを採用してきたが、今回の新型では、リヤサスペンションをダブルウィッシュボーンに変更し、フロントは形式こそ、そのままだが新開発されたものへ改良されている。さらに電動パワーステアリングは、ラック平行式という新しい方式に変更された。

    • 素材の見せ方や、豊かな風合いにこだわった室内空間で、切れ味の良い正確な運転感覚を楽しめる
      素材の見せ方や、豊かな風合いにこだわった室内空間で、切れ味の良い正確な運転感覚を楽しめる

     これらの総合的な効果によって、クルマの動きは切れ味よく正確でありながら、乗り心地のよさもあわせて実現している。重心が低いので、カーブでの車体のロールが少なく抑えられ、なおかつ前後方向の揺れとなるピッチングも少ない。また、ドライバーの乗車位置がクルマの重心に近づいたことにより、安定感はさらに高いものとなった。

    優れた効率で環境性能を高めたハイブリッドシステム

     カムリに搭載されたパワーユニットは、排気量2.5リットルで211馬力のエンジンに、THS‐IIと呼ばれるハイブリッドシステムを組み合わせたものだ。初代プリウスから築き上げてきたトヨタのハイブリッドシステムは、高度な制御を可能にしていて、モーターのみのEV走行と、エンジンも駆動するハイブリッド走行の切り替えはきわめて滑らかに行われる。クルマ全体の静粛性が向上しているので、エンジンが駆動している際の音は耳に伝わってくるが、エンジンそのものが低振動であることに加え、液体封入式エンジンマウントの採用などによって余計な振動がよく除去されていて、上級感にあふれる走りを実現している。

    • 最大熱効率41%の高効率と高出力を両立したエンジンを組み合わせたハイブリッドシステムを動力とする
      最大熱効率41%の高効率と高出力を両立したエンジンを組み合わせたハイブリッドシステムを動力とする

     ガソリンエンジンの熱効率(エンジンのなかで発生した熱をどれくらい仕事、すなわち動力として取り出せるかの比率)は一般的に30%程度と言われているが、この2.5リットルエンジンはなんと41%という高効率を達成している。ハイブリッドシステムとの組み合わせによって、33.4km/Lの燃費を実現した。使用するガソリンはレギュラーなので、経済性は抜群に高い。そして、燃費がいいということは、同時に二酸化炭素(CO2)の排出量も少なく環境性能も高いことにつながる。

    安心や扱いやすさを実感させる運転

     安全性については衝突回避支援パッケージの「トヨタ・セーフティ・センスP」を標準搭載する。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた方式で、歩行者検知機能付き衝突回避支援を行う。レーンディパーチャーアラート(車線逸脱警報)は、電動パワーステアリングで回避を支援する制御も行われる。さらに、オートマチックハイビームを備え、夜間の歩行者などの発見のしやすさを支援。レーダークルーズコントロールは、全車速での追従走行が可能だ。ブレーキホールドシステムを同時に使えば、渋滞時の使い勝手もかなり高く、疲労低減につながる。

    • ゆったりとした広さをもつ後席
      ゆったりとした広さをもつ後席
    • 荷室はたっぷりとした容量があり、後席背もたれを前方へ倒し込めば長い荷物も積み込める
      荷室はたっぷりとした容量があり、後席背もたれを前方へ倒し込めば長い荷物も積み込める

     北米地域を主要な市場とするカムリは、モデルチェンジを繰り返すたびにボディーサイズが拡大し、日本での使い勝手を低下させているように思われがちだが、TコネクトSDナビを装着することで使用可能となる音声ガイダンス付きバックガイドモニターと、クリアランスソナーを併用することにより、一方通行路が多数存在する都内住宅地での車庫入れも容易に行うことができた。さらにこのクリアランスソナーには、障害物に近づきすぎると自動的にブレーキが作動するインテリジェントクリアランスソナーも用意されているので、よほど狭い地域でない限り使い勝手の悪さは感じないだろう。

    文/写真:諸星陽一

    2017年11月08日 09時57分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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