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    トヨタの新車試乗記です。

    トヨタ20年の電動車両技術

    自動車の電動化へ先鞭をつけたトヨタ

    • 手前から、電気自動車「eQ」、ハイブリッド車「プリウス」、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」、燃料電池車「MIRAI」が並ぶ
      手前から、電気自動車「eQ」、ハイブリッド車「プリウス」、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」、燃料電池車「MIRAI」が並ぶ

     世界の自動車業界は、電動化へ大きく踏み出した。

     自動車の動力に、電気を取り入れる先鞭(せんべん)をつけたのは、トヨタであった。1997年12月に、ハイブリッド車(HV)の初代プリウスを発売したのである。その後、日本のホンダや日産、スズキからもHVが相次いで発売された。

     一方、当時のドイツの自動車メーカーは、エンジンとモーター二つの動力を持つHVは過渡的な技術と判断し、ディーゼルターボエンジン車の販売に力を注いだ。ところが、気候変動を抑制する二酸化炭素(CO2)の削減だけでなく、大気汚染を防止するうえでも、電動化が不可欠な時代を迎えた。

     トヨタは、初代プリウスを発売する前から、電気による動力を自動車に取り入れる研究・開発を始めている。

     1977年には、ガスタービンを使ったHVを公開した。また、80年代には電気自動車(EV)の開発も独自に乗り出している。さらに、90年代初頭から燃料電池車(FCV)の研究も始めているのである。それらが、HVのプリウスや、FCVのMIRAI発売につながっている。

    • 電動化技術の説明に立った、トヨタ自動車パワートレーンカンパニーの安部静生常務理事
      電動化技術の説明に立った、トヨタ自動車パワートレーンカンパニーの安部静生常務理事

     2017年11月に、東京都江東区青海のメガウェブで開催されたトヨタ自動車の電動化技術説明会で説明に立った、パワートレーンカンパニーの安部静生常務理事は、

    「環境車は1種類ではなく、いくつかの環境車を適材適所へ持っていき、より便利に、使いやすくするのがトヨタの使命です」と、語った。


    普及のカギを握る小型化とコスト

     電動化技術説明会の会場には、車体内側の機構を直接目にすることができる、初代プリウスや現行プリウス、またMIRAIのカットボディーが展示された。あわせて、電動化を実現する部品の進化を見せる展示もあった。

    初代プリウス(左)から4代目(右)へ、小型軽量化された駆動用モーター


     そのなかで、あらゆる構成部品の進化を一目で理解できるのが、小型化だ。もちろん、ただ小さくするだけでなく、性能も向上させている。

     駆動を行うためのモーターは、初代プリウスに比べ4代目で全長が17%短くなり、重量は30%軽く仕上げられている。モーターへ電気を供給するバッテリーパックは、なんと体積で76%もの小型化を実現した。その電気を制御するパワーコントロールユニット(PCU)も、体積と質量ともに半分となり、高性能化の指標となる出力密度は2.5倍に向上している。

    • 初代プリウスの機構を説明するカットボディーの脇に立つ、初代プリウス開発主査を務めた内山田竹志会長
      初代プリウスの機構を説明するカットボディーの脇に立つ、初代プリウス開発主査を務めた内山田竹志会長

     技術開発が進むとともに、原価低減も効果を上げた。初代プリウスの開発主査を務め、現在はトヨタ会長である内山田竹志は、「プリウスは、モデルチェンジのたびにシステムを全て作り変え、その労力は大きかったですが、原価は、2代目で初代の1/2、3代目では1/3、4代目では1/4にまで下がっています。ただし、普及するという前提があってのことで、普及しなければいつまでたっても原価は下がりません」と、話す。


    ハイブリッド車累計1100万台を達成

    • トヨタがハイブリッド車を累計1000万台販売したことで、同クラスガソリン車と比較して累計7700万トンのCO2を抑制した
      トヨタがハイブリッド車を累計1000万台販売したことで、同クラスガソリン車と比較して累計7700万トンのCO2を抑制した

     トヨタのHV販売は、20年間で世界累計1100万台の実績を積み上げた。内山田会長は、

     「当初予想していたより、普及のペースは速いと感じています。開発当時、2020~30年の時点で先進国での販売比率が30%と考えていました。ところが、国内ではトヨタ車の40%がHVであり、ヨーロッパでも41%がHVです。グローバルでは、トヨタグループで年間1000万台の新車を販売しているとして、そのうち約900万台がトヨタ車ですが、その16%に達します。

     20年間、お客さまとメディアにHVを応援していただきながらここまで来たという感慨と、実績への自負があります」と話す。

     そして、安部常務理事は、「マーケットを決めるのは、お客さまですので、お客さまが選んでくださる車種の選択をしていくのがトヨタのビジネスだと考えています。

     トヨタがHVを開発し、世の中に広めてきたのは、HVだけにとどまらず、その先に続くすべての環境車に適用できる核となる技術としてHVをしっかり開発していることを、理解していただきたいと考えています。

     地球環境のために、環境車を全方位で提供していくために、HVをしっかり開発し、グローバルに販売しているのです」と、説明する。

    • トヨタ車全カテゴリーにハイブリッド車が揃っている
      トヨタ車全カテゴリーにハイブリッド車が揃っている

     実際、トヨタはすべてのカテゴリーにHVを(そろ)えている。セダンだけでなく、コンパクトカーからミニバン、スポーツ用多目的車(SUV)もHVを選ぶことが可能だ。さらに、プラグインハイブリッド車(PHV)のプリウスPHV、FCVのMIRAIという選択肢も揃えている。

     文:御堀直嗣

    2017年12月13日 13時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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