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    自動運転ってどんなもの? 記者が試乗リポート

    • 日産独自の自動運転技術を搭載した新型セレナ
      日産独自の自動運転技術を搭載した新型セレナ

     車が自動走行する時代がやってきた――。国内メーカーの本格参入で、にわかに注目を集める「自動運転車」。世界的な技術競争の中、国も2020年をめどに高いレベルでの実用化を目指す。「第4次産業革命」ともいわれる大革新の現状と、新技術がもたらす未来の車社会に迫った。(石橋武治)

    新型「セレナ」は最先端技術を採用

     日産自動車(横浜市)が8月24日、独自の自動運転技術「プロパイロット」を搭載した新型「セレナ」を発売した。

     自動運転の技術は、国際基準で5段階にレベル分けされる=表参照=。新型「セレナ」はアクセルやハンドルなどの操作を複合的に制御できる「レベル2」に分類されるシステムを搭載した、最先端の国産車とされる。

     システムは高速道路での使用が前提で、同一の車線上であれば自動走行が可能という。さっそく運転を体験したが、一般道は普通のオートマチック車と同じ。首都高速道に入り、ハンドル右側のボタンを押して「プロパイロット」をオンにすると、モニターに緑色のマークが点灯して自動運転が始まった。

    恐る恐る手足を離すと…

    • 運転を体験するため首都高速道路へ
      運転を体験するため首都高速道路へ

     カーブにさしかかると、軽く手を添えただけのハンドルが、小刻みに動くのを感じた。自分自身はもともと右に寄る癖があるのだが、システムに制御された車体は車線間の中央部分を何かに導かれるようにスムーズになぞる。恐る恐る右足をアクセルから離すと、先行車に距離を置いて設定された時速80キロを保ちながら進んでいった。

     慣れると湾岸沿いの風景を楽しむ余裕もできた。煩わしいアクセル・ブレーキ操作がなくなったので、長時間運転では活躍してくれそうだ。特に渋滞時はイライラしながらペダルを踏み替えるストレスから解放してくれるだろう。普及すれば渋滞そのものの解消にもつながるという。

    東京五輪までに交差点走行が可能に?

    • 10秒間手を離すと警告音が鳴ってシステムが解除される
      10秒間手を離すと警告音が鳴ってシステムが解除される

     ハンドルから手を離すと10秒ほどでアラームが鳴り、さらに離し続けるとシステムが解除される仕組み。同乗してくれた日産第二製品開発本部の黒田和宏さんによると「現段階ではあくまで、ドライバーを支援し運転に集中してもらうための機能」という。同社は2020年には交差点も走行できる自動車の市販を目指している。

     自動運転技術は、車載カメラの映像分析やハンドル制御を担う人工知能(AI)の発達とともに、めざましく進化している。世界をリードするのは、異業種からの参入となる米グーグル社。すでに同社は、独自の全自動運転システムによる公道での走行実験を繰り返している。また米フォード・モーターはブレーキペダルがない完全自動運転車の生産を21年にも始めるという計画を発表している。

    加速する世界の開発競争

     独メルセデスベンツも今夏、車線のない場所でも先行車を自動追従する「Eクラス」が投入され、日本でもトヨタやホンダが5月に開催された伊勢志摩サミットで最新技術を披露するなど、自動運転の実用化に向けた動きが加速している。また豊田通商が貨物搬送に、ディー・エヌ・エーが宅配サービスに活用するため、それぞれ技術開発に乗り出している。

     経済産業省はこうした動きに合わせ、2020年までに高速道路での自動運転、25年ごろまでに完全自動運転車を実現させるとしていた目標を、前倒しする方針。試験場の整備などの後押しをし、世界的な開発競争に追随する考えだ。

    夢の「自動運転」社会

     自動運転技術の普及で社会はどう変わるのか、東京農工大の毛利宏教授(機械システム工学)は、「完全な自動運転社会が達成されれば、駐車場を探さずとも都市部のデパートで買い物ができたり、移動中も仕事をしたり読書を楽しんだりする時間に充てることができる。人間によるうっかりミスを排除できるため、交通事故も減るので、安全で時間に正確な移動も可能になる」という。一方で、「システムの信頼性は言うまでもないが,例えば安全確保のための減速で新たに生じる渋滞など、社会に及ぼす影響も考えられる。事故の責任やテロリストによる悪用を想定した対策なども講じていく必要がある」とも指摘している。

    【動画】新型セレナの自動運転を体験(撮影・石橋武治、池田創)

    2016年10月17日 12時16分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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