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    長く読み継がれてきたおすすめの文庫を紹介します。

    『政談』 原作 荻生徂徠 漫画 近藤たかし

     江戸中期の儒学者、荻生徂徠の名を教科書で知った人も多いだろう。でも知の巨人の思想となると……なんだか難しそうだ。

     それが4月に創刊された「講談社まんが学術文庫」で読むと、驚くほどわかりやすくて面白い。徂徠が、8代将軍吉宗に出した意見書「政談」を近未来の日本で実行したら――SF的設定が功を奏し、江戸の思想が身近になった。

     同業者は同じ場所に住む、無職の禁止などコンピューター「SORAI」が打ち出す政策は当初、主人公のフリーター青年らに反発されるが、鉄壁の理論武装を前に反論は粉砕される。そして本社の地方移転、議員の世襲禁止など格差是正策は次第に支持を集めていく。

     哲学好きの漫画家を起用、学術局の編集者の知恵も借り、思想のエキスを伝え、原典を読みたくなる。同時刊のゾンバルト原作『恋愛と贅沢ぜいたくと資本主義』は、革命前後のフランスを舞台に、贅沢や見栄みえがいかに市場を拡大させたかという内容で、『政談』の対極をいく。読み比べは、頭の体操にもなる。(600円)(鵜)

    2018年05月23日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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