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    長く読み継がれてきたおすすめの文庫を紹介します。

    『現古辞典』 古橋信孝、鈴木泰、石井久雄著

     手紙を古語で言うと、「便り」「せうそく(消息)」というのは推測がつきますが、では流行は? これは「今様」なんですね。だから後白河法皇が編さんした今様歌謡の集成「梁塵秘抄りょうじんひしょう」というと難しげですけれど、要は流行歌集なんです。

     〈いまのことばから古語を知る〉と副題にある本書は、現代語を古語でいうとどうなるのか、手軽にわかる辞典です。求婚は「よばひ」「つまどひ(妻問)」で、ずばり行為そのもの。お世辞は「上手」のほかに、「軽薄言葉」もあります。相手の気持ちをいたずらに忖度そんたくし、へたなお世辞など言うものではないですね。

     一方で、アパートは古語でいうと「つぼね(局)」「ばう(房)」。4畳半アパートも典雅になります。

     美しい、にもいろいろあって、「かぐはし」「きよらなり」「きらきらし」から「えん(艶)」「なまめかし」などまで。古語を知ると、なにやら人生まで豊かになったような気がします。(河出文庫、1400円)(鵜)

    2018年05月30日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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