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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『父よ、ロング・グッドバイ』 盛田隆二著

     〈読み進めるのがつらいのに、本を閉じられない〉。作家の重松清さんの推薦文が帯を飾る。ほんとうにその通りだ。8歳年下の妻に先立たれてから認知症が進んだ父をみとるまでの約10年の介護日誌を、小説家がつづっている。

     仕事があり、妻との生活があり、離れて暮らす父と難病の妹がいる。老親の食事、洗濯という日常から、施設入所、入院……。限られた時間での局面ごとの判断と対応が、いかに難しいか、よくわかる。同時に、在宅介護や施設利用での注意点も、事実が詳細なだけにとても参考になる。

     「自分の時間を人のために使うことが、命を大切にするということ」。引用された日野原重明医師の言葉が身にしみるのは、長い時間をかけて家族とお別れした著者の思いが伝わるからだ。(双葉社、1400円)(飼)

    2016年06月15日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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