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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『マッド・ドッグ』 美達大和著

     一気読みした後も、身体からだは火照ったまま。無期懲役刑で服役中の著者が、亡き父を主人公に描いた小説には、それほどのエネルギーがほとばしっている。

     主人公・菊山は、戦前の日本に朝鮮半島から渡り、鉱山で頭角を現す。戦後は、並はずれた腕力と胆力、まっすぐな信念で、用心棒や金融業者として苦境を何度も乗り越えて大成功する。一人息子・翔太は、時に牙をむき反抗しながらも、自らを愛してやまない菊山を受け入れていく。

     多くは実話という荒ぶる描写は、にわかには信じられない。人間の気力や親子の絆などに胸が揺さぶられると同時に、他者の痛みを考え複雑な思いにもなる。好悪は分かれるかもしれない。2011年に刊行され評判を呼んだ『夢の国』を大幅に改稿、改題した作品。(河出書房新社、1500円)(佑)

    2017年03月01日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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