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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『日本の橋』 五十畑弘著

     さまざまな人や物が行き交う橋は、歴史の舞台となり、多くのドラマも生んできた。「日本書紀」には神話の時代の橋の記述が、江戸の刑場跡近くには処刑される罪人が見送りの人と別れた「涙橋」がある――。

     橋にまつわる物語や変遷が多角的に紹介される。作者は技術者だけにその観点も豊富だ。日本では江戸期に堅ろうな石造アーチ橋が入ってきても普及は九州などにとどまった。古来、寿命が短く掛け替えが必要な木造橋が中心の時代が長く、インフラ(社会基盤)に関しても「形あるモノは常に変化する」という意識が見られるという。

     近代の橋が鋳鉄から錬鉄、鋼、鉄筋コンクリート製へと強さを増していったことも分かる。身近にある橋にも足をとめ、由来や造りに思いをはせたくなる。(ミネルヴァ書房、2000円)(佐)

    2017年03月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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