文字サイズ
    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『青鉛筆の女』 ゴードン・マカルパイン著

     解体予定の家の屋根裏から発見されたのは、ソーンという名の作家が1945年に出したスパイスリラーと、編集者からの手紙。

     さらにもう一つ、本名タクミ・サトー名で手書きされた原稿。三つのパートが交錯する米ミステリーだ。

     日米開戦直後を舞台にした原稿は、妻を殺した犯人を追う日系人の男の話。書籍は日系人スパイ組織と戦う朝鮮系の男の話。視点の違う物語が絶妙に絡み合い、その変化に青鉛筆を手にした女性編集者がしたたかに関わったことが浮かび上がる。断片と断片を結びつける技巧の見事なこと!

     真珠湾攻撃後の日系人強制収容の史実を踏まえていることも特筆すべきだ。理不尽に自由を奪われ、タクミは何を考えたのか。その悲しみが断片の間に見えてくる。古賀弥生訳。(創元推理文庫、1000円)(佐)

    2017年04月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク