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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『フィリピン』 井出穣治著

     IMF(国際通貨基金)でフィリピンの担当も務めた著者が、この国への理解を深めてほしいと著した。

     この国に対して治安が悪くて貧しいというイメージを持つ人が多いかもしれない。だが著者は、高い英語力をいかしたコールセンターなどのBPO産業や海外出稼ぎ者の人々による送金額の増加などにより近年、高度成長が続いていることを示す。一方でインフラの不足や汚職・腐敗など、成長の足かせとなる課題も依然として多いようだ。

     重く響くのは、圧倒的な格差が経済の発展のみならず、民主主義にもマイナス要因となっているという指摘。ドキリとするのは日本だけではないだろう。植民地時代やドゥテルテ政権、過去から現在にかけての日比関係など、多角的な考察も興味深い。(中公新書、800円)(佑)

    2017年04月19日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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