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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『孤独論』 田中慎弥著

     高校を卒業後、デビューした30代前半まで、山口県下関市で仕事につかず孤独に生きてきた芥川賞作家による人生論だ。

     <いまを生きる人の多くは、「奴隷」になってしまっているのではないか>

     作家の言葉は、冒頭から挑発的だ。仕事や学業、人間関係に縛られた人々、時間的に余裕があっても思考停止に陥るような環境にいる者は「奴隷」ではないかと問う。自分の人生を足で踏みしめるため、孤独を恐れないこと、今いる場所から逃げ出すことを勧める。

     職場や学校から逃げ出すと、糸の切れたタコにならないかと不安になるけれど、<ふらふらしていたっていい>と断言する。著者の場合、自身の人生の裏づけがあるので妙な説得力がある。一人になっても生きてゆけそうな気がしてくる。(徳間書店、1000円)(待)

    2017年04月26日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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