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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『「未知」という選択』 江崎玲於奈著

     ノーベル賞受賞者を輩出しているものの、昨今は論文数の伸び悩みなど研究力の低下が指摘される日本。44年前にノーベル物理学賞を受賞した著者は、敗戦後の産業復興を志し民間企業で半導体研究を続ける中、32歳でエサキダイオードを発見した。

     はやりの研究に惑わされず、独自の課題に取り組んできた科学者の足跡は、日本の停滞を打ち破るための示唆に富む。米国での研究生活で得た国際的なネットワークは、内向きと言われる現代の若者に刺激的に映るだろう。

     研究者の心得である「エサキの黄金律」の一つは、「初々しい感性と飽くなき好奇心を失ってはならない」。生命科学からITまでを論じる92歳の知性に圧倒されつつ、幼い日の思い出にはほろり。(神奈川新聞社、1389円)(滝)

    2017年04月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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