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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『小辞譚 辞書をめぐる10の掌編小説』 文月悠光ほか著

     ネット時代に紙の辞書をひく機会は減った。だが、手あかで黒ずみボロボロになった辞書には、人と言葉との出会いの記憶が封じ込められている。小説家、落語家、女優ら10人の書き手が物語をつづった。

     優秀だが報われなかった学僧が、筆写した仏教用語辞書にわざと残した誤り……(小林恭二「或る騒動」)、大量の本の整理中、目にした辞書にあった恐ろしい言葉……(藤谷文子「引っ越し前」)。青春の断片も、30代独身女性の倦怠けんたいも、新潟の山中の怪異も、辞書に絡めて語られる。簡潔で美しい語釈のように、各編は短くても中身は濃い。

     「辞書の厚さの分だけ、人は世界を区切って、意味を与えてきた」(文月悠光「制服の神さま」)。言葉を支える辞書の豊かさを思う。(猿江商會、1600円)(佐)

    2017年05月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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