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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『鯨と生きる』 西野嘉憲著

     関東で唯一の捕鯨基地である千葉県南房総市にある和田漁港では、毎年夏の限られた間、漁を行う。和田漁港までは都心から車で2時間ほど。しかし、この写真集におさめられた写真の数々は、どこか別世界のような趣がある。

     鯨を仕留める漁師たちの射るような目、こわばった表情は息をのむような迫力がある。一方、漁が終わった後の食事時のリラックスした様子との差が、漁の厳しさを際立たせている。

     船を下りてからも、カメラは漁師たちの姿を追う。さばかれた鯨から流れ出てたまった濃く赤い血が画面いっぱいに広がる。そして、その肉を求めて集まる住民たち。南房総の鯨漁には400年の歴史があるという。鯨とともに生きる人たちの光景は、震えるほど感動的だ。

    (平凡社、4500円)(啓)

    2017年09月27日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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