文字サイズ
    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『復興百年誌 石碑が語る関東大震災』 武村雅之著

     著者は関東大震災の被害実態の研究で知られ、現在は名古屋大教授。本書は神奈川県内に建てられた震災の慰霊碑、記念碑など634件の記述や来歴を基に、地域復興に努力した住民の姿を浮かび上がらせる。

     帝都復興事業で都市改造が行われた東京に対し、被災地の大部分である農村部では、人々が協力して復旧に当たったという。石碑の文字がその経緯を伝える。組合を作って水道を引き、耕地や道路を整備。産業を立て直すため、酪農や茶栽培を始めた村もあった。

     犠牲者を悼み、復興事業の完工を記念する石碑は、災害の悲惨さを忘れず、自分たちの労苦を子孫に伝えるために建てられた。その先人たちの願いと共助の精神を、現代の防災に役立てたいという著者の強い思いが感じられた。(鹿島出版会、3400円)(高)

    2017年12月06日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク