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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『古代史講義』 佐藤信編

     研究の進展で大きく変わりつつある古代史像を、邪馬台国、蘇我氏、平城京、摂関政治など、15のテーマに分けて一線の研究者が解説する。

     飛鳥時代の蘇我氏と物部氏の抗争は、崇仏か排仏かより、蘇我氏の急な台頭とそれへの危惧という政治対立が背景だったと指摘する。天平文化の国際色の象徴として語られがちな正倉院宝物に舶載品はわずかで、むしろ外来文化を自らのものとして吸収したことこそ宝物から見て取るべきだと説く。平安時代の摂関政治は、天皇をないがしろにした国政の私物化ではなく、天皇制を安定的に機能させるための政治システムだったのだという。

     「歴史が変わる」と声高に説くより、実証がどう進んできたかの淡々とした説明に説得力を感じる。(ちくま新書、880円)(央)

    2018年02月14日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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