文字サイズ
    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『あの頃、この歌、甦る最強伝説』 富沢一誠著

     和製フォークが登場する1960年代半ばから、昭和が終わる80年代後半までを軸に、日本の大衆音楽の歩みを総括している。音楽評論家の著者が問いに答える形で、まとめられている。

     切り口は明快。自作自演のフォーク、ニューミュージックの系譜と、作り手と歌い手の分業が原則となる演歌・歌謡曲の相克が、この時期の日本の音楽界を動かしたという史観に貫かれる。吉田拓郎を筆頭に、フォークがメジャーになる過程で、それまでの歌謡界の慣行を打破した一方、歌謡界側はシンガー・ソングライターから作品提供を受けることで、活性化する。

     単なる対立関係ではない相互作用が日本の大衆音楽を豊かにしたことを実感できる。その後のJポップにつながる日本の音楽潮流を知る一助となろう。(言視舎、1700円)(浩)

    2018年06月06日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    大手町モールのおすすめ
    帆布鞄
    リンク