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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『ブラジル映画史講義』 今福龍太著

     南米の大国に花開いた独自の映画文化、その多彩な魅力が鮮やかに切り取られている。1930~80年代に作られた13本の映画から読み解く異色のブラジル論。

     かの地を愛する文化人類学者で映画愛好家の著者は、リオのカーニバルを舞台に男女の悲恋を描いた59年の名作「黒いオルフェ」を様々な視点から読み解く。黒人を中心とした民衆文化、フランス人監督による外部の視点、ギリシャ悲劇を下敷きにした神話的イメージ。通俗的な異国趣味とは一線を画した、多文化が混交するブラジルのリアルな姿が浮かび上がる。

     祝祭的なダイナミズムや洗練されたボサノバの調べに秘められた光と影。「社会・文化の表象の産物」としてブラジル映画を鑑賞する楽しみを教えてくれる。金子遊編集。(現代企画室、2700円)(良)

    2018年06月13日 05時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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