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    読売新聞の書評担当記者が選ぶおすすめの1冊です。

    『海防僧 月性 明治維新を展いた男』 秋田博著

     幕末から明治に向け、新しい時代を切り開こうと奔走した長州の人々には、志半ばで病などに倒れたものが多い。短いゆえに、彼らの生は美しい輝きを放つ。

     瀬戸内沿いの山口県柳井市遠崎に生まれた僧、月性(1817~58年)もその一人だ。寺の境内に学塾を開き、村の青年を指導する傍ら、沿岸に来る異国船対策や国防の大切さにいち早く気づき、全国を遊説した。

    郷党 春深くして 俊髦しゅんぼう育つ

    門に満つ桃李 方袍に映ず

     この漢詩は、学塾の塾生との様子を詠んだものだ。月性は詩を愛した。風雅を愛するからこそ、その源である自分たちの暮らしを守るため国を憂えた。短い生をたどる労作から、真っすぐな相貌そうぼうが浮かび上がる。(人文書館、3000円)(待)

    2018年06月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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