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    新入生よ これを読め!

    東大教師・CEOが紹介本

     新年度が始まり、大学のキャンパスには新入生があふれている。気持ちも新たに、本を手に取る人もいるだろう。「本をすすめる本」は読書の手引として最適で、それぞれの特徴を知り、自分の興味に合わせれば、本選びもスムーズになる。

     東京大学出版会の広報誌「UP」では、毎年4月号に、教員が新入生にすすめる本のアンケート結果を掲載している。2009年からの7年分をまとめたのが『東大教師が新入生にすすめる本』(東京大学出版会)だ。

     1988年に始めた当初は、学生が本を読むという前提で、読書プランを助ける意図だったらしい。しかし、90年代以降は「読書離れ」が指摘され、「少しでも学生に読書意欲を持ってもらいたいという切実な思い」を込めた企画に変わったという。

     小玉重夫・教育学部教授は『若い教師への手紙』(竹内常一著)を「教育学を本格的に勉強してみようと思うきっかけを与えてくれた」とし、前田健太郎・法学部准教授は『共生の作法』(井上達夫著)を「善悪や正義と不正義についての議論の仕方を教えてくれた」とするなど、推薦理由が具体的でわかりやすい。

     文系、理系を問わず様々な分野の入門書や概説書が紹介される中、司馬遼太郎や村上春樹らの小説もあり、『剣客商売』(池波正太郎著)は、ストレスがたまった時におすすめという。

     『東大教師が――』では、古典も多数紹介している。興味はあってもちょっと苦手という人には、T・バトラー=ボードン著『世界の政治思想50の名著』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が適しているかもしれない。古典のエッセンスを抜き出した「世界の名著」シリーズの1冊だ。

     数行でまとめた要約もあり、アリストテレス『政治学』は「国家の目的は、市民の幸福と崇高さを達成することである」。大筋を知って興味がわけば、古典がより身近になるだろう。

     ビジネスに関心がある人は、『新世代CEOの本棚』(文芸春秋)が合いそう。IT業界などで成功を収めた現役あるいは元最高経営責任者(CEO)ら10人の愛読書を紹介する。朝倉祐介・ミクシィ元CEOは「次に何をすべきかを考えるときの指針になる」として、『V字回復の経営』(三枝匡著)を挙げるなど、時代の先頭ランナーの頭の中をのぞくにはちょうどよい。

     同じビジネス向けでも、『ブレない自分をつくる「古典」読書術』(日刊工業新聞社)は、古典から生き方を学ぶための勉強会「人間塾」を主宰している小倉広による著書だ。

     古典には「すべての教えが詰まっている」とし、「悩みや苦しみを前にしても、自分がどう行動すべきか迷わなくなる」とする。まずは、古典の入門書として挙げる『代表的日本人』(内村鑑三著)から手に取ってはどうだろう

    「答え」でなく「問い」を探す

     東京都江戸川区の書店「読書のすすめ」の店主、清水克衛さん(54)=写真=が『魂の読書』(育鵬社)を出版した。

     1995年に書店を開業し、「大切な人にぜひ読んでもらいたい本」を独自の視点で並べてきた。土居伸光著『光』は、「『今を生きる』という最も大切なこと」に気づかされ、心を穏やかにしてくれるとし、病に苦しんでいる人にすすめたいという。

     最近は、読めば簡単に成功するかのような「ノウハウ本」が多いことを危惧している。「読書は『答え』を探すためではなく、『問い』を見つけるためにするもの。1冊の本が人生を変えることだってあるんです」(文化部 原田和幸)

    2016年04月21日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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