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    カフェや朗読会…図書館が変身中!

     地域住民に良質の本を貸し、読んでもらう場所だった公立図書館が変わり始めた。お酒も飲めるカフェを併設したり、朗読会を開催したりと、交流と憩いの場という色彩を持ち始めている。(地方部 池田創)

    人生変えた「読み聞かせ」ボランティア

    • 読み聞かせの楽しさを語る[Jiji・Baba隊」メンバーの福富さん(右)
      読み聞かせの楽しさを語る[Jiji・Baba隊」メンバーの福富さん(右)
    • 定期的にファン倶楽部通信を発行し、図書館と読書の魅力を発信している
      定期的にファン倶楽部通信を発行し、図書館と読書の魅力を発信している

     「あーん、タータンひざこぞうがいたい いたい!」「いたいのいたいの あっちのおやまへとんでけ~」

     横浜市立都筑図書館の読み聞かせコーナーで、近くに住む福富洋一郎さん(72)が子どもたちに絵本の「ノンタンいたいのとんでけ~☆」(キヨノサチコ著、偕成社)を朗読する。どの子どもも目を輝かせ、飽きることなく聴き入った。

     福富さんは同館の高齢者ボランティア「Jiji(ジジ)Baba(ババ)隊」の一人。隊員は26人。定期的に館内で絵本を朗読し、読書の楽しさを伝えている。

     「福ちゃん、今日もお話ありがとう」「ねえ福ちゃん、もっと読んで」。福富さんはあだ名で呼ばれ、子どもからの人気は絶大だ。

     かつては猛烈サラリーマン。本は好きでも図書館に行く暇はなく、あっても仕事を選んだ。そんな人生の転機を図書館がもたらした。

     50歳代後半の2003年、勤めの傍ら「地域に尽くしたい」と、ボランティアの立場で同館の運営に協力する「つづき図書館ファン倶楽部(くらぶ)」に入り、本の魅力を紹介する情報紙の発行や同館のイベント運営などを始めた。ジジ・ババ隊は5年前、倶楽部の有志で結成した。

     福富さんは自宅にも100冊近い絵本を(そろ)え、孫を相手に朗読する。「声の強弱、ページをめくるタイミングとか、いろいろ演技や工夫が必要で、結構面白いです。定年退職するまで、読み聞かせなんてしたこともなかったのに」。第二の人生を得た喜びを言葉にする。

    一杯やれるカフェ併設

    • ビブリオバトルで絵本の魅力を語る参加者(3月20日、横浜市立都筑図書館で)
      ビブリオバトルで絵本の魅力を語る参加者(3月20日、横浜市立都筑図書館で)

     都筑図書館は、ほかにも図書館の利用者同士で書評の優劣を競うビブリオバトル、傷んだ本の修理講座など、住民を交えた活動を展開する。

     こうした地域の交流と憩いの場を目指す公立図書館は続々誕生している。たとえば、東京・武蔵野市立図書館「武蔵野プレイス」は外部に運営委託するカフェで映画や本を語る会を定期的に開催し、午後5時からはアルコール類も提供する。

     図書館にお酒はタブーのはずだが、同館は「仕事帰りのサラリーマンにリラックスして読書に楽しんでもらおう」と考えた。運営会社も「お酒の提供は来館者の会話を弾ませるため。様々な人たちと交わる場としてカフェを利用してほしい」(松井隆雄代表)と期待する。

    • 「仕事帰りに気軽に立ち寄ってほしい」と話す武蔵野プレイスのカフェ運営会社の松井代表
      「仕事帰りに気軽に立ち寄ってほしい」と話す武蔵野プレイスのカフェ運営会社の松井代表
    • 武蔵野プレイスのカフェでは夕方からアルコール類も飲むことができる
      武蔵野プレイスのカフェでは夕方からアルコール類も飲むことができる

    • 「1960~70年代のレコードがずらりと並ぶ図書館にぜひ足を運んでほしい」と語る文京区立小石川図書館の山田館長
      「1960~70年代のレコードがずらりと並ぶ図書館にぜひ足を運んでほしい」と語る文京区立小石川図書館の山田館長

     東京・文京区立小石川図書館はクラシック、ロック、ポップス、ジャズなど1960~70年代のLPレコードを約2万枚所蔵していることで有名。館内での視聴はもちろん、貸し出しもしてきたので、中高年の音楽ファンには有名だった。

     それにとどまらず、今年から週1回、クラシックレコードを館内でBGMのように流すようにした。狙いの一つが「レコードを通じた世代間交流」(山田万知代館長)だった。

     慎重論もあったが、やってみるとCD以降の世代にも好評で、高齢者とレコード談議に花を咲かせる若者も出てきた。

    「地域のつながり」担う役割

     公立図書館は、なぜ変わろうとしているのだろうか。

     日本図書館協会は昨年8月、全国の自治体を対象に図書館の位置づけについてアンケート調査した。回答した約1000の自治体のうち、「子ども向けの読書会や作家の講演会など、本を通じた地域振興・交流事業を行っている」と答えた自治体が半数近くに上った。

     協会の西野一夫専務理事は「町内会や祭りなど地域コミュニティーが希薄な時代。無料で本を借りる場から、地域の人々が交流する場へ変化させようという自治体の意識の表れ」と指摘する。

     今後の方向性について、高齢者への一層の利用呼びかけを挙げ、「高齢者が地域の人と交わることによって孤立化が防げる。そのきっかけづくりの一端を図書館が担っていくだろう」と予測する。

     都筑図書館のジジ・ババ隊の大橋明美さん(67)は、福富さんに誘われて5年前にメンバーに加わった。当時は、札幌市から引っ越してきたばかり。「知らない土地で不安でしたが、おかげで友だちがたくさんできました」

     ジジ・ババ隊は保育園などにも出かけ、朗読する予定。福富さんは「孫世代から元気をもらい、同世代の友だちも増えた。まさに図書館が人と人をつなげてくれました」と声を弾ませた。

    つづき図書館ファン倶楽部が選ぶ 首都圏の注目図書館4選

    (1)特徴 (2)開館時間 (3)休館日 (4)電話番号

    ※開館日の詳細は各館のホームページでご確認ください

     

    ◆横浜市立港北図書館

    (1)館内に横浜市港北区の情報を集めた「港北まちの情報コーナー」を設置。横浜・F・マリノス関連本など約2000冊。区内の各地域に伝わる昔話を題材にした住民手作りの紙芝居上演会も

    (2)火~金曜日午前9時半~午後7時、土・日・月曜日、祝日は午後5時まで

    (3)施設点検日(月1回)、年末年始、特別整理日

    (4)045・421・1211
     

    ◆武蔵野市立図書館(「武蔵野プレイス」内)

    (1)児童図書エリア(2階)、20歳以上原則お断りの青少年向けフロア(地下2階)など各階に年齢別の図書を配置。カフェではアルコール類も提供

    (2)午前9時半~午後10時

    (3)水曜日、年末年始、特別整理日

    (4)0422・30・1900
     

    ◆調布市立図書館

    (1)早くから分館の設置を進め、現在10か所。子どもでも歩いて行けるよう、人口2万人、小学校2校あたり1館を実現。中央図書館は映画関係の資料(台本、ポスターなど)が充実。撮影所の多い調布市ならでは

    (2)中央図書館は午前9時~午後8時半、分館は午後5時(4~9月の水・金曜日は午後6時)まで

    (3)中央図書館は第4月曜日とその翌日、分館は毎週月曜日と第4月曜日の翌日、年末年始

    (4)042・441・6181
     

    ◆大和市立図書館(「大和市文化創造拠点シリウス」内)

    • (c)株式会社エスエス 加藤俊彦
      (c)株式会社エスエス 加藤俊彦

    (1)「おしゃべりできる図書館」を目指す一方、読書に集中したい利用者向けのサイレントルームを用意。3階は児童書フロアで、読書室やDVD視聴ブースあり。4階は健康に関するフロア。健康関連書籍のほか、骨健康度測定器、電動血圧計、血管年齢測定器などを自由に利用できる

    (2)児童書フロアは午後7時まで。その他は平日午前9時~午後9時、日曜日、祝日は午後8時まで

    (3)12月31日と1月1日

    (4)046・263・0211
     

    2017年04月24日 10時02分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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