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    大判絵本・図鑑 続々と

    海外と共同出版 割安に

     普通の絵本より判型が大きい「大判絵本」「大判図鑑」と呼ばれるものを書店でよく見かけるようになった。広い紙面を生かして絵や文字を入れ、視覚的にも面白い。最近目立つものは、海外の複数の出版社で制作費を負担する「国際共同出版」と呼ばれる手法で作られている。

    • 『世界のしくみ まるわかり図鑑』の日本語版(左)と英語版。黒い文字以外のカラー部分は、すべて同じ作りだ
      『世界のしくみ まるわかり図鑑』の日本語版(左)と英語版。黒い文字以外のカラー部分は、すべて同じ作りだ

     太陽系の仲間、人体の骨格、原子の構造……。R・プラット、J・ブラウン『世界のしくみ まるわかり図鑑』(柏書房)は、子どもの知的興味を育みそうな話題を分かりやすく紹介する。星の絵、骸骨の模型などのカラーイラストが洗練されている。学習用やプレゼントなどにも向きそうだ。

     同書は、B4判より一回り大きい判型の64ページで2700円。日本の絵本は、例えばA4判の32ページで1500円前後が相場なので、割安感がある。

     この本は英国の版元で作られ、今月イタリア、フランス、ドイツなど9か国で同時出版された。「多くの国で出版すると、印刷部数が増えるので制作コストを抑えられます」。同社編集部の山崎孝泰さんは説明する。

     まず海外の版元が、エージェントなどを通して各国の出版社に見本を送り、参加社を募集。多くの部数を刷るなど好条件を示した社が、その国の独占出版権を得る。

     カラー印刷物は、様々な色調の基となる三原色の赤、青、黄と、黒の4色の版を重ねて作る。同書の原著は図版部分だけがカラーで、英語の文字部分は黒色で描かれており、各国の参加社は原著の文字部分だけを翻訳し、差し替え用の黒の版のデータを出版社経由で海外の印刷工場に送る。その後、各国分を一斉に刷る仕組みだ。

     近年増えた海外発の大判絵本は、2014年に出たA・ミジェリンスカ、D・ミジェリンスキ『マップス』(徳間書店)がヒットしてから広まってきた。ポーランドの絵本作家が4000以上のぎっしり詰まったイラストと地図を使い、世界の国々の食べ物や動物、歴史的な建物などを紹介する。

    • 一般の絵本(下)より、ぐっと目をひく大判の絵本や図鑑(東京・神保町の子供の本の専門店「ブックハウスカフェ」で)=萩本朋子撮影
      一般の絵本(下)より、ぐっと目をひく大判の絵本や図鑑(東京・神保町の子供の本の専門店「ブックハウスカフェ」で)=萩本朋子撮影

     徳間書店児童書編集部の小島範子編集長は「棚に入らなかったり、平台では2冊分の場所を取ったり。最初はこんな大きな本を書店が置いてくれるか心配でした」と振り返る。初版1万2000部を出版後、人気が出るにつれて店頭で一分野として定着した。

     海外の工場で印刷し、船便で受け取るため増刷には時間がかかるという。現在は21万6000部に達した。昨年末、同じコンビの書き手が「3メートルのミミズがオーストラリアにいる」「世界一深い金鉱は」など、地下や水中の興味深い話題を詳しいイラスト入りで紹介した『アンダーアース・アンダーウォーター』も出版した。

     同じく国際共同出版で作られた大型の本として、フレーベル館は、ビッグバンから2015年の仏の政治週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃事件をはじめ現代の出来事まで紹介したピーター・ゴーズの歴史絵本『TIMELINEタイムライン』。河出書房新社は、各国の様々な食について解説したジュリア・マレルバほか『世界食べものマップ』などを刊行し、それぞれ人気を呼んでいる。

     インターネットを使ってファイルで新刊の見本を送り、印刷データの入稿が簡単にできるようになった時代だ。グローバル化が絵本の世界でも楽しい潮流を生み出している。(待田晋哉)

    2017年09月21日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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