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    ラップ続々 読むバトル

     1対1で言葉をぶつけ合う即興ラップ「MCバトル」の世界に、マンガが次々と参戦している。工夫を凝らしたセリフの韻も読みどころだ。マンガとラップは相性がいいのだろうか。

    軽妙に「韻」曲感じさせ

    ■あの子も罵倒

    • 『ライミングマン』の踏男(右)は普段は気弱だが、マイクを握ると攻撃的ラップを繰り出す(c)若杉公徳/白泉社
      『ライミングマン』の踏男(右)は普段は気弱だが、マイクを握ると攻撃的ラップを繰り出す(c)若杉公徳/白泉社

     「ラップはずっと描きたかったが、どうマンガにすればいいかわからなかった。MCバトルがはやり始めて、これならと思った」

     「ヤングアニマル」(白泉社)で『ライミングマン』を連載する若杉公徳さんは語る。ニートでラッパーの父に振り回される高校生の踏男フミオが、嫌っていたラップの魅力に目覚めていく物語。MCバトルがののしり合いだけではないとわかるのが、踏男が片思いの女の子とステージで対決する場面だ。踏男は愛をこめて、しかしここに書けないほどのひどい言葉で、彼女を打ちのめす。

     「このシーンはかなり考えました。好きな子を悪口で泣かせてしまうわけだから。でも普段言えないことを言い合い、スッキリして握手できるのがMCバトル。僕もマンガを通じてラップしている感じです」

     若杉さんはヒット作『デトロイト・メタル・シティ』でもラッパーを登場させた。同じ音楽ギャグでも、今回の方がずっと熱血青春っぽいのは「やっぱりラップが好きだから」という。

    ■言葉にリズム

    • 刊行されたラップマンガの数々。『美ー子ちゃん』(手前)は、有名なボールペン習字講座広告マンガのパロディー仕立て
      刊行されたラップマンガの数々。『美ー子ちゃん』(手前)は、有名なボールペン習字講座広告マンガのパロディー仕立て

     ラップマンガが急に増えたのは昨年からだ。『サウエとラップ~自由形~』(陸井栄史むついえいじ、サイプレス上野、秋田書店)、『ラッパーにまれたらラッパーになる漫画』(インカ帝国、発行・LINE)、『キャッチャー・イン・ザ・ライム』(背川昇、小学館)が次々と刊行された。熱血マンガの雄、曽田正人さんも少女ラッパーを主人公にした『Change!』(講談社)を「月刊少年マガジン」で連載中。

     ラップマンガを特徴づけるのがセリフの韻だ。日本語ラップは母音をそろえることで言葉にリズムとインパクトを与える。『ライミングマン』には「親がどうとか関係ねぇ/誰の指図も受けつけねぇ/誰のサイズにも収まらねぇ」というパンチライン(決め言葉)のほか、「これが今朝の献立/しっかり食えよこんだけ/残ってるなミソ汁/それ俺のみぞ知る」という軽妙なライム(韻)も出てくる。

     「普通のマンガよりずっと時間がかかる」と若杉さんは苦笑するが、音が出ないマンガで、巧みに韻を踏むことで曲を感じさせるラップは、新しい音楽マンガの可能性を開きそうだ。

    ■弱者の音楽

     MCバトルをブームにしたのは、2012年から始まったBS番組「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」、さらに15年から地上波で始まった「フリースタイルダンジョン」の人気が大きい。ユーチューブでもバトルの模様が気軽に見られるようになった。

     しかし、ラップはまだまだ素人が近寄り難い分野だろう。服部昇大しょうたさんの『このマンガがすごい!comics にっポン語ラップのー子ちゃん』(宝島社)は、ラップに詳しい服部さんが、15年からネットで発表してきたマンガを元にした入門書。日本語ラップの歴史や名盤がわかりやすくまとめられている。

     「楽器がなくてもスキルを磨けるラップは、弱者のための音楽」と服部さん。「今のブームは若者の貧困などの状況を映しているのかもしれない。自分をさらけ出すラップはマンガに乗せやすい。ラップは不良のものというイメージが変わればいいと思っています」

     (編集委員・石田汗太)

    2018年06月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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