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    話題作の著者へのインタビューで、創作の意図、素顔に迫ります。

    『脳の取扱説明書』 木ノ本景子さん

    もっと自分に正直に

     普段、当たり前のように働いてくれている脳に説明書がいるのだろうか。思わず手に取らされる題名の一冊だ。

     「自分に必要な脳の部位に関するところを気軽に拾い読みしてほしい」

     神経内科医の著者は、慣れるとよく笑う人だった。

     本著は最新の科学に基づき、言語をつかさどる左脳や物事を感じる右脳、脳幹部や辺縁系など、各部位の仕組みや役割を説明。そのうえで、各部位を鍛えるのに何が有効かを紹介する。

     例えば、コミュニケーション力や協調性と関わる神経細胞「ミラーニューロン」を鍛えるには、相手の良いところを見つけ、ほめることなどが役立つという。

     「ほめようとすると相手の観察が必要になります。どの部位でも鍛えるには、楽しんでやることが大切です。修業のようにつらいものより、楽しい方が神経細胞が伸びてゆくようです」

     1968年、福井市生まれ。大学卒業後、救急車を受け入れる急性期病院に16年間勤務した。「脳梗塞の方が多く、麻痺まひが残ったり、話せなくなったりすることがある。医学的に最善なことも、受け入れるか決定するのは本人次第。ひとくくりにできない」と強く感じた。

     その後、リハビリなどを行う回復期病院に勤め、5年前に鎌倉に拠点を移し訪問診療などを行っている。この本が、初の著書だ。「なぜ自分がこんな考え方をするのか、言語化できず、悶々もんもんとすることがある。それらが脳の観点から説明がつき、解決のヒントになることがある」と執筆を思い立った。

     「日本人は論理などを扱う左脳が働きすぎ、自由な思考が制限されがちだと言われます。もっと自分に正直に物事を感じるといいと思う」と語った。(みらいパブリッシング、3000円)待田晋哉

    2016年08月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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