<速報> フリーアナウンサーの小林麻央さん死去…34歳
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    話題作の著者へのインタビューで、創作の意図、素顔に迫ります。

    『ウニはすごい バッタもすごい』 本川達雄さん

    多種多様の生き物賛歌

     87万部のベストセラー『ゾウの時間 ネズミの時間』(中公新書)から25年。

     動物生理学者の著者が、ウニやヒトデといった自らの研究分野を、初めて一般向けの新書にした。「やっと書かせてもらえた」とうれしそうだ。

     紹介される色々な生き物の有り様にはうならされる。例えば砂の上に暮らし、砂粒の間の有機物を栄養にしているナマコ。ほとんど動かずとも生きられるから、摂取エネルギー量は少なくてすみ、筋肉はごくわずか。体の大部分は皮なので食べられる危険も少ない。昆虫も「クチクラ」素材の外骨格を持ったからこそ、体を乾燥から守り、羽を生やして飛べるようになった。貝もホヤも、確かにみんなすごい。「人間とは相当違うが、それぞれ地球上で大成功した。同じ地平で褒めてあげないと」

     だから各章の最後に自作の「褒め歌」を付けた。

     ♪見ない 耳ない 鼻もない 筋肉あっても 超少ない~~(ナマコ天国)

     生物学習に必要な知識をちりばめた歌を、これまでに約200曲制作し、大学の講義で披露してきた。「考えるための材料は、やはり丸暗記しないと。ならば覚えやすくなる方法を提供するのが教育者ではないか」と語り、現状の理科教育をチクリと刺した。

     1948年生まれ。日本が豊かになり、周囲が「役に立つ」学問を志向する中、「直接は役立たない」分野を専攻したくなった。そこでたたいたのが生物学の門。この分野では珍しく、生き物好きではなかった。その分、純粋な驚きが詰まった「生き物賛歌」が書けたのかもしれない。

     「人間は頭から自分たちを絶対と考え、『脳のない生物なんておかしい』などと、一方的にほかの生物を断罪する。それで『多様性が重要』なんて言えるのかなあ」(中公新書、840円)小林佑基

    2017年03月21日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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