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    話題作の著者へのインタビューで、創作の意図、素顔に迫ります。

    『死にゆく人のかたわらで』 三砂ちづるさん

    自宅で夫をみとること

     大島つむぎに博多帯と桜色の帯締め。すらりとした立ち姿が美しい。そして、なんとすがすがしい表情だろう。「夫は私の腕の中できました」。末期がんの夫を自宅で2年2か月介護し、みとった妻の手記。在宅でがん患者をみとる具体的な方法を示した。

     自宅で最期を迎えたい。夫の希望は無謀にも思えたが、「がんに関してはこの国の制度は十分だった」。介護ベッドもポータブルトイレも公的保険で利用でき、訪問診療で痛みもコントロール可能。医療、介護保険による治療とサービスしか受けず、実費負担は最大月約8万円だった。

     下の世話や発作の対処は大変だったが、「大切な人を世話する喜びがあった」。延命治療はせず、2015年6月、落ち着いた自宅で穏やかな最期に向き合った。「『死は怖くないよ』と夫に勇気づけられた。愛する人に人間らしい死を迎えさせることができた。晴れやかな気持ちだった」

     津田塾大教授。母子保健の疫学者としてブラジルなどで約15年間研究し、帰国後の04年、『オニババ化する女たち』(光文社新書)で女性の身体性を取り戻すことを提唱。フェミニズムの側から反発されたが、女性の社会進出を批判したわけではない。本質は賃労働が過剰に重視される社会の中で、結婚や出産をし夫や子供を愛するという当たり前の幸せが女性から奪われていることへの警鐘だった。

     出産、子育て、介護はひたすら大変――。負の面ばかりを強調する風潮に「『やっぱり苦しいんだ』という自己暗示で女たちがより苦しんでいるのでは? つらさだけでなくそこには喜びもあると思う」。大切なのは、人が人らしく幸せに生きて死ぬことだ。

     普段から外では着物で過ごしている。理由を尋ねると、「体を締めつけず心地いいから」と返ってきた。(幻冬舎、1400円)武田裕芸

    2017年04月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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