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    話題作の著者へのインタビューで、創作の意図、素顔に迫ります。

    『愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家』 延江浩さん

    両家を軸に見直す昭和

     激動の昭和。重大事件や風俗を通して、人いきれでむせかえるような空気を一つの物語のように捉えた時代史だ。「その文化の大輪を咲かせた太い幹」として、国家主義者の巨魁きょかい頭山満とうやまみつる(1855~1944年)の家系と、婚姻関係を結んだ松任谷家という二つの家を軸にした。シンガー・ソングライターのユーミンも、こうした縁の延長線上に生まれたという。

     TOKYO FMのラジオマンとして、東日本大震災関連の番組でギャラクシー大賞を得るなどしてきた。執筆のきっかけは戦後70年のドキュメンタリーを書こうと思ったこと。だが、敗戦に至る起点として開国の幕末を描く必要性を感じ、頭山を調べ始めた。すると、頭山の周囲には「意外にもリベラルな人が集まり、愛国という共通点があった」。

     頭山の孫の代で同家は、ユーミンこと荒井(現・松任谷)由実さんの夫で音楽プロデューサーの松任谷正隆さんの家系と結びつく。「様々な文化の震源地に両家が関わっていたんです」。例えば、東京・明治神宮外苑の「松任谷ビル」地下にあった会員制クラブ「易俗化エキゾチカ」には、三島由紀夫らの作家や俳優が集っていた。

     物語は後半、フォークやニューミュージックの誕生を鮮烈に描き出す。「時代に鋭敏なそうした音楽は、高度成長期に喪失感を覚えた都市の若者たちが作った。ものすごい個性が我先に飛び出し、爪痕を残していった」

     存命の登場人物には話を聞いて回った。ユーミンが頭山の孫と会った時の知られざるエピソードも明かされる。昭和をたどると、現代のネット社会が「のっぺらぼうのよう」に感じた。「飛び交う膨大で無記名の言葉に時代を動かす力はない。『顔』の見えた昭和の時代を見直すことが必要だと思う」(講談社、1700円)岩城択

    2017年04月18日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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